コースの構成要素の一つである「問題解決能力」は、「レッスン」にあたり、その向上のための学習内容を決めていくことが「レッスンプランの策定」になります。私が担当する「問題解決法(創造的実行プロセス)」を適用して「問題解決能力」を高めると決定すれば、方法論として「創造的実行プロセス」を使用した「レッスンプラン」を策定することになります。

 「創造的実行プロセス」は、その構成要素として「問題課題分析」「発生問題分析」「決定事項分析」「将来問題分析」の思考ツールや「問題とは?」という概念レベルの内容。更に「思考力の4つの要素」といった内容を持っています。

 この一つひとつの思考ツールや他の内容が「ラーニングオブジェクト」です。

 ラーニングオブジェトの一つである「問題課題分析」には、「分析プロセス」「プロセスの解説」「ケース研究」「分析例」などの学習のための教材を用意しています。また、この教材を用いて理解を深めるための「ラーニングアクティビティ」として、「ケース個人研究」「ケースグループ研究」「実務課題討議」といった学習の進め方も用意しています。

 このラーニングオブジェクトをしっかり準備することで、様々な学習者に対し学習内容を提供することができます。
「初めて問題課題分析を学ぶ人に、分析例を用いてプロセス解説する」
「問題課題分析を学習したことがある人に実務課題を用いてグループ討議する」
などの適用により、対象とする学習者の状況に応じて学習内容を組み立てていくことが可能になります。

 以前、教材開発を専らの仕事とされている方とこのラーニングオブジェクトについて議論させていただいた際、その方が言っていたことが印象に残りました。
「教材開発の仕事では、テーマに基づいて一品一品制作することが多くありました。しかし、内容的には似通ったテーマもあり、『教材の再利用』ができないかが課題となっていました。このラーニングオブジェクトの概念とその整理をうまくすれば、再利用率が高まることに気づきました」

 教材の再利用ということが、教材開発に携わっている方にもテーマとなっていることを知りました。職場の指導で、教材を開発するのはとても大変です。個々の学習者に対して教材を用意することは現実的ではありません。かといって、マニュアルや仕様書を読ませるだけで指導するのは、学習者の学習意欲の点からも適切とは言えません。

 学習すべきラーニングオブジェクトを定義して、学習者自身に教材作成を課題とするなどの工夫により、職場で学習できる文化を築いていくことが必要ではないでしょうか。

 IT分野における技術の伝承——このテーマは日本においてはあまりうまく進んでいないのではないかと危惧しています。ラーニングオブジェクトを定義し、ラーニングアクティビティをうまく組み合わせることで、職場における学習する文化の形成を進めることが求められているように感じます。皆さんはどのようにお考えですか?

 ITHRD(IT人材育成協会)のホームぺージ(http://ithrd.jp/index.php/blog/ojl)に関連資料をリンクさせていただきました。そちらのスライドも参考にしていただけたらと思います。

安藤 良治(あんどう・よしはる) PSマネジメントコンサルティング 代表
安藤 良治

 1956年生まれ。メーカー系ソフトベンダに入社し、27年間教育、採用、組織・人事と人事畑一筋に歩んできた。その間、インフォーマルグループ“夢現会”を社内に立ち上げ、社員の自立化、第一人称で自社を語る人財の育成に力を注ぎ、人事部長を経て2005年に独立。独立後は、仲間と実践的な問題発見・開発技法「創造的実行プロセス(B-CEP:ビーセップと呼ぶ)」の開発と普及を柱に、プロジェクトマネージャー能力強化研修、ビジネスアナリシス実践研修、ITリーダー研修、ITシミュレーション研修、PBL型新人研修(3ヶ月)の運営責任者等を担当している。また、NPO法人ITスキル研究フォーラムの人財育成コンサルタントとして“人財育成のツボ“の情報発信や、一般社団法人IT人材育成協会(ITHRD)において「ラーニングファシリテータ育成」プログラムの開発と普及活動を行い、主としてIT業界の人材育成に注力した活動を行っている。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。