パブリックスピーキングは習得しうる “スキル”

 海外で通用するパブリックスピーキング、というと、英語を勉強しなければ!と考える人が多いものです。しかし、ノンネイティブである私たちにとって、ネイティブと対等に話せる英語力を養うのは至難の業。一方でパブリックスピーキングは、習得しうる“スキル”です。

 パブリックスピーキングの極意は、聞いている相手がたった一人の営業相手でも、何百人の聴衆でも、彼らの心を捉えて放さず、心を大きく動かす、ということです。実はそこに言語力はあまり必要ではありません。どの言語を使う場合でも、パブリックスピーキングのスキルの上達にフォーカスすることで、今あなたが持っている言語力のままで、異文化の人相手でも、格段に伝わりやすいスピーチを実現することができるのです。それこそが、グローバル・パブリックスピーキングです。

 本コラムでは、グローバル・パブリックスピーキングのコツをご紹介していきます。

 皆さんは、スピーチしている時の自分の癖を知っていますか?

 「ついつい腕を組んでしまう」「緊張していて左右に頻繁に揺れている」「調子をとろうとするたびに手を合わせてしまう」「手のやり場が分からず後ろで組んだままになっている」「顔に落ちてくる髪の毛を耳にかける動作を何度もしている」「ネクタイや袖などを知らず知らずのうちに触っている」……など。

 スピーチ中は、結構自分では気づかぬまま、ついつい癖が出てしまうもの。しかしボディーランゲージから発せられるメッセージは、非常に大きいのです。実は「発する言葉」よりも聞き手に大きな影響を与えるものなのです。

スピーチの大敵

 ではデリバリーの際、どんなボディーランゲージを心掛ければ、聞き手によい印象を与えられるのでしょうか。特にグローバルな環境でのスピーチを想定してみたいと思います。

 外国人はボディーランゲージがダイナミックなので、それに見劣りしないよう大きな動きをすればよいのでしょうか?

 違います。もちろん、スピーチ中、同じ姿勢をずっと保っていたり、ほとんど見えないような動きしかしなかったりでは聞き手は飽きてしまいますので、動きは大切です。パブリックスピーキング界の大御所、Patricia Frippは、常にこのように言っています:

 「The biggest enemy of public speaking is sameness」

 つまり、スピーチの大敵は、「無変化」ということです。

 声のトーンやスピードなどが単調であると、聞き手は催眠術にかかったように眠くなってしまい、集中力や興味が途切れてしまうことでしょう。表情が一定なのも、感情が伝わらず、共感を得ることが難しくなることでしょう。体の動きについても同様です。同じ姿勢、同じ立ち位置でずっと話していたら、場の変化が生まれず、聞き手の注目を引き続けることはできません。

 日本では、最初から最後まで、演台の後ろに立ったまま講演を行うパターンがよく見られますが、実はこのスタイルは、「スピーチの大敵」スタイルなのです。このスタイルは、「無変化」が続くだけでなく、演台が聴衆との距離を作ってしまうため、「クローズド」な印象を与えてしまうのです。