パブリックスピーキングは習得しうる “スキル”

 海外で通用するパブリックスピーキング、というと、英語を勉強しなければ!と考える人が多いものです。しかし、ノンネイティブである私たちにとって、ネイティブと対等に話せる英語力を養うのは至難の業。一方でパブリックスピーキングは、習得しうる“スキル”です。

 パブリックスピーキングの極意は、聞いている相手がたった一人の営業相手でも、何百人の聴衆でも、彼らの心を捉えて放さず、心を大きく動かす、ということです。実はそこに言語力はあまり必要ではありません。どの言語を使う場合でも、パブリックスピーキングのスキルの上達にフォーカスすることで、今あなたが持っている言語力のままで、異文化の人相手でも、格段に伝わりやすいスピーチを実現することができるのです。それこそが、グローバル・パブリックスピーキングです。

 本コラムでは、グローバル・パブリックスピーキングのコツをご紹介していきます。

 パブリックスピーキング界の大御所、Patricia Frippは次のように言っています:

 “People resist sales presentation. But nobody can resist a good story…well told.A trivial story well told is much more memorable than a great story poorly told. ”― Patricia Fripp

 「TEDとか、モチベーショナルな性質のスピーチならよいだろうが、ビジネスの場では、ストーリーテリングは目的にそぐわないのでは?」という疑問がよく聞かれますが、Patriciaははっきり「That's a big big mistake」と答えています。

 「何かを売り込まれている」と少しでも感じると、人は抵抗を感じたりしますが、豊かなストーリーには誰もがつい耳を傾けてしまう力があります。それは何も、複雑で巧妙なストーリーでなくてよいのです。シンプルながら、効果的に語られたストーリーには、人は心を動かされるものなのです。

 ビジネスプレゼンの中のストーリーは、様々な役割を担ってくれます。

 込み入ったコンセプトや新しい知識を得た時、ストーリーと共に解説されると、より理解が進み、腹落ちしやすくなります。

 商品・サービスの購入を検討しようとしている時、実際それをどんなシーンで使ったらどのように現状が改善されるのか、ストーリーならよりイメージがわきやすくなります。

 上司から言われて仕方なく参加した研修でも、講師が自身の失敗談など、ストーリーを語ると、興味が持てるようになります。 過去のケースを紹介する際、そのプロジェクトに関わった人々の顔が見え、どんな苦労を経て今に至るか、ストーリーで聞くことができれば、より、「この会社に頼みたい」と心が惹かれます。

 ビジネスプレゼンでは、ついつい「事例紹介」にとどまってしまうパターンがほとんどではないでしょうか。

 事実(クライアントの課題やプロジェクト背景説明、提供したソリューション、得られた結果)を明確に説明すれば、論理的なので説得力があると思いがちですが、実は論理だけでは人の心は動きません。