リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役
ブレイクスルー・スピーキング代表

パブリックスピーキングは習得しうる “スキル”

 海外で通用するパブリックスピーキング、というと、英語を勉強しなければ!と考える人が多いものです。しかし、ノンネイティブである私たちにとって、ネイティブと対等に話せる英語力を養うのは至難の業。一方でパブリックスピーキングは、習得しうる“スキル”です。

 パブリックスピーキングの極意は、聞いている相手がたった一人の営業相手でも、何百人の聴衆でも、彼らの心を捉えて離さず、心を大きく動かす、ということです。実はそこに言語力はあまり必要ではありません。どの言語を使う場合でも、パブリックスピーキングのスキルの上達にフォーカスすることで、今あなたが持っている言語力のままで、異文化の人相手でも、格段に伝わりやすいスピーチを実現することができるのです。それこそが、グローバル・パブリックスピーキングです。

 本コラムでは、グローバル・パブリックスピーキングのコツをご紹介していきます。

 どんなスピーチでも、第一印象が大切です。最初の7秒でスピーカーの印象が決まり、30秒で、スピーチに興味を持てるかどうか判断されてしまう、という7秒ー30秒ルールについては以前にもこのコラムでお話ししました。

 ブレイクスルー・スピーキング(http://www.btspeaking.com)
では、受講者の皆さんに「オープニング7つの手法」を学んでいただいていますが、時折、こうおっしゃる方がいらっしゃいます。
「最初にジョークを交えて話すとアイスブレイクになっていいんだよね」。

そうでしょうか? 実はここに大きな落とし穴があります。

「ユーモア」のあるオープニングは効果的ですが、これは「ジョーク」とは性質の異なるものなのです。

ユーモアとジョークはどう違う?

 プロのコメディアンをよく観察してみてください。

 彼らは面白いことをただ言っているだけではありません。絶妙なタイミング、間、緩急のつけ方、声の表現力、表情、体の動き、オチでドカンと笑いを取るストーリー構成……。すべてが計算されつくされているからこそ、笑いが起きるのです。彼らは「笑いのプロ」ですから、常に、笑いのネタにもアンテナを張っていることでしょう。

 それを素人がやろうとするとどうなるでしょう? ご想像することはたやすいと思います。

 「笑いをとろう」と思ってジョークを一発言ってみる、ではなかなか人は思ったように笑ってくれません。万が一うまくいって笑ってくれたとしても、笑いを取ることを目的としたジョークは、本題とは直接関係ないことが多いものです。せっかく笑いが取れても、その後急に話題の異なる本題に移ってしまったら、その場の空気感は、一気に冷え切ってしまうことでしょう。これでは7秒ー30秒ルールも逆効果になってしまいます。

 一方で、「ユーモア」はスピーチにおいて大切な要素です。ユーモアとジョークの大きな違いを一言でいうならば、ジョークは「笑い」を目的にしているのに対し、ユーモアは「笑い、学ぶ」ことを目的とする、という点です。