中村文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

 社内研修に講師として呼んでいただく場合、いわゆる「事務局」の方と一緒に企画したり、当日の運営を行ったりします。事務局の方から時々相談されることの一つに、当日の研修参加者の参加姿勢の評価というのがあります。研修に積極的に参加しているか、や、きちんと理解し習得しているか、というのは、時間も費用も投資している事務局としては当然気になる点です。

 上層部からは常に、研修の成果を問われると思いますので、そうした意味からも気になるのは自然なことです。そのため、当日の参加者の研修参加姿勢を何らかの形で測りたい、ついては、参加者の参加姿勢や発言の回数・内容について講師からのフィードバックが欲しい、というご依頼です。

 ここで今回考察したいのは、そうしたフィードバックの内容や形式ではありません。それよりも、そもそも研修参加者の参加中の発言などを評価の対象にすること自体についてです。今回は以下の3つの観点から考察していきます。

①受講者の学習スタイルの違い
②安全な学習環境の重要性
③「研修はイベントではなくプロセスである」という視点

学習スタイルは人によって違う

 学習スタイルには、「参画タイプ」なのか「考察タイプ」なのかという違いがあります(Personal Learning Insights Profile®参照)。これは、どのように学習のプロセスに関わりたいかというニーズの違いで、参画タイプは積極的に学習プロセスに関与したいのに対し、考察タイプの人は、学んでいる際に得た新しい情報について、文字通り「考察」する時間を必要とします。

 つまり、何か新しい情報を得た際、参画タイプの方はグループワークやディスカッションなどに積極的に関わり、共に考えたり話し合ったりしながら吸収したり、発想を広げたりしていくことが好きで得意です。一方、考察タイプの方は、まずは自分の中でじっくりと考え、整理し、落とし込みをする時間を必要とします。この違いは学習スタイルの違い、すなわち好みの違いですので、どちらが優れているという類のものではありません。多様性があります。

 では、この好みの違いは研修中にどう行動として現れるでしょうか。例えば、講師が何かについて説明します。その直後に今の説明についてのディスカッションを促したとします。その際、発言が出やすいのは、参画タイプからでしょうか、それとも考察タイプからでしょうか。

 おそらく一般的には参画タイプの方からの発言が早いタイミングで期待できます。考察タイプの方は発言する前に考えたいはずです。その行動の違いだけに着目すると、問いかけに対して「積極的に」発言している方と、あまり発言しない方、というふうに見える可能性は大きいのですが、それは果たして、学ぶことに対する意欲や積極性の差でしょうか。発言のタイミングや回数を参加者に対する評価の対象にしてしまうと、考察タイプの方は「積極性が足りない」という評価になる危険性が高いのです。

 ご参考までに、こうした違いを考慮して、グループディスカッションを行う際にも、2~3分でも良いので個人で考えをまとめて付箋などに書きだし、書いたものを持ち寄ってディスカッションするという手法を用いることで、お互いのストレスが緩和され、発言の量の偏りを減らすことが可能です。