●新しいコンセプトを取り入れたい場合
 多様性、働き方改革など、世の中で新しいトレンドが生まれることがあります。これまでにはなかったコンセプトで、かつ組織内に浸透させて活用・実践していきたいと判断した場合は、希望者だけが参加するというより、全員参加の必須研修で共通認識をつくるのが良いでしょう。

●階層別など共通の役割に対して学びが必要な場合
 昇進・昇格などに伴い、組織内での役割が変わり、その新しい役割を遂行するにあたって必要な知識やスキルを身に付けていただくための研修です。それぞれの階層に求められる要件やコンピテンシーなどが定義され、それに基づいた研修内容になっていることが望ましいです。研修参加を昇進・昇格の条件としている組織もありますが、昇進・昇格の直後に学んでいただく機会を提供するという位置づけの組織もあります。

■「手挙げ」の研修に向いているもの

 次に手挙げの研修にはどのような性質のものがフィットするでしょうか。

 「手挙げ」の研修は、個別のニーズに対応するものですので、社員全員、あるいは、役職や年次で一律にこれを学ぶという研修ではありません。一人ひとりの職務やキャリア、現状の強みや課題に基づいて選択して参加できるという位置づけになります。また、今後必要となる能力を前もって高めておいて将来に備えるというニーズもあるでしょう。一例としては下記のようなニーズがあります。

●プレゼンテーションを行う機会が多いので、プレゼンテーションスキル研修でスキルアップしたい

●海外の子会社との業務が増えるので、異文化対応力を高めたい

●アルバイトのスタッフが多いチームをリードする役割なので、OJTのスキルを高めたい

●課題分析・解決力を高めて、現状の課題に対して効果的な対策を講じたい

「必須」と「手挙げ」のミスマッチで何が起きるか

 ここまでは、どのような目的の研修が「必須」に向いているか、「手挙げ」に向いているか、基本的な設定基準をみてきました。では、「必須」なのか「手挙げ」なのかの設定がミスマッチになったり、「手挙げ」の場合に選択ミスが起きてしまったりすると、どのようなことになるでしょうか。

●一部の人だけが学んでも大きな波はつくれない
 先述の通り、組織開発的なアプローチが必要な状況では、「手挙げ」の研修ではなく「必須」とする方が効果を期待できることが多いのです。それを「手挙げ」と設定したらどうなるでしょうか。例えば、「フラットな組織へと組織文化の改革を行いたい」という場合に、一部の人、希望者だけが研修に参加する、ということが起きるわけです。そうすると、研修に参加した人は新しい考えに基づいて行動しようとする一方で、賛同しない人もいるままの状況が続くわけです。組織の中で大きな波を起こそうとするのであれば、一気に全員に影響を与える方がより大きな効果を期待できます。