「必須」か「手挙げ」かには、明確な意図が必要

 皆さんの組織では、研修企画のなかで、その研修を「必須」にするか、「手挙げ」にするかをどのような基準で決めていらっしゃるでしょうか。

 「必須」の研修というのは、ある条件に合う人は全員参加することを求める研修です。例えば、階層別研修で、ある役職になる人・なった人は全員参加、この部署の人は全員参加、正社員は毎年1回必ず受講など、言い換えると「参加することを義務付けている」研修です。階層別研修のほかには、新入社員のフォローアップ研修、〇年目研修、コンプライアンス研修、評価者研修などが代表的です。

 それに対して「手挙げ」の研修というのは、個人がニーズに応じて「参加を申し込むことができる」研修です。〇年目~〇年目の社員、〇〇レベル(組織内の階層)の人、〇〇のスキルを習得したい人、〇〇というニーズのある人など、どのような人を対象とするかがアナウンスされ、対象に該当し、学びたいと思う人が申し込むような仕組みです。

 こうした必須の研修と手挙げの研修は、明確な意図を持って設定する必要があるのですが、最近クライアントと何度か話題になったので、今回のトピックとして取り上げました。

■必須研修に向いているもの

 まず必須研修から考えます。以下のような、組織開発的な性質のものは、必須研修が向いているでしょう。

●企業文化を醸成したい、もしくは、変えたい時に、取り組みの一部として研修を行う場合
 例えば、「上下関係に対する意識が強い組織から、フラットな組織へと組織文化の改革を行いたい」ということになったという状況で考えます。新しい組織文化が目指すものを明確にしたうえで、権限規定や組織図などの変更も行いつつ、社員に求める行動については研修しようということになりました。そうした流れの中で行う研修は、一部の社員だけが参加するのではなく、全員が参加して共通認識を持つことが大切になります。

●共通言語化したい場合
 上記同様、何かについて共通言語を皆で持ち、それを活用していきたい場合。例えば「プロジェクトマネジメントの手法をこれで統一していこう」「今後の研修デザインはこのインストラクショナルデザインの考えにのっとって行おう」「部下を持つ人には、トップダウン型の指示出しではなく、コーチングスキルを活用した部下育成を行ってもらいたい」などと、組織として標準となるコンセプトや手法を取り入れていく場合、それに関わる人は全員同じ研修に参加して基盤をつくります。