研修をオブザーブしてくださっているご担当者(事務局)から、
「今日の参加者は静かですね。大丈夫そうですか?」
「今日はどのチームも活発に議論が進んでいるようで良かったです」
などと、「盛り上がり度合い」に関してのコメントを聞くことが多くありませんか?

 確かに、参加者の発言が多くて、時には楽しそうな笑い声が聞こえたりすると、講師としても事務局としても安心して見ていられるという気持ちはよく分かります。ですが、それは研修が順調に進んでいるか、結果が出せるかという点についてのある一面に過ぎません。

 それは、以下のように見ることもできるからです。
●発言している=理解・納得しているということとは限らない
●発言している=研修後の行動に結びつくとは限らない
●楽しそうにしている=深い学びを得ているとは限らない
●楽しそうにしている人が多い=全員が前向きな気持ちである
 とは限らない
などなど、挙げればきりがありません。

●発言は多くても、学びや考えは浅いかもしれません
●楽しそうにしていたり、発言は多かったりしても、その場のノリ
 がいいだけで、研修終了と同時に意識がほかに移ってしまうかも
 しれません
●楽しそうにしている人も気を使っているだけで、内心は冷ややか
 かもしれません
●楽しそうにしている人が多い一方で、もっと静かに学びたいと
 思っている人がいるかもしれません

 こちらも挙げればきりがありませんが、ポイントはご理解いただけるかと思います。したがって、いわゆる「盛り上がっている」状態であるということと、研修が順調に進んでいること、そして研修後に成果が出せることとは、別のことであると区別する必要があるのです。

 このような状況に対応するにあたり、以下の2つのことに考慮して対応したいものです。
1.発言が偏らないように、全員を巻き込む工夫をする
2.とはいえ、発言を無理強いすることなく、発言が少ない人にも学びやすい環境をつくる

 前提として、人には学び方に好みがあり、発言の量を増やすことが良いことであるとは限りません。例えば、学習プロセスへの積極的関与や、ほかの参加者との関わりの中で学ぶ「参画タイプ」と、受け取った新しい情報についてはいったん自分自身で考える時間を必要とする「考察タイプ」があるという点については、連載第17回「研修への参加姿勢を評価するのはなぜ間違いなのか」の記事で述べた通りです。

1.「発言が偏らないように、全員を巻き込む工夫をする」具体的なテクニック
●問いかけをした後、個人で考えをまとめ、付箋などに書き出し、
それを持ち寄ってグループディスカッションを行う

 個人で考えをまとめる時間を取ることで、考察タイプの方も発言しやすくなります。また、書いたものを持ち寄ることで、おのおのの発言内容が見える状態になるため、グループ内で均等に話そうという空気が生まれやすくなります。

●発言の時間や数を制限する
(一人1つずつ、や、一人30秒ずつ、など)

 一人が考えたことを全部話すと、話が長い人が時間を使い切ってしまい、ほかの人が発言できなかったり、最初に発言した人の発言内容に大きく影響されてしまったり、自分の番が来る前に言うことがなくなってしまったりしがちです。時間や数を制限することで、そうしたデメリットが大きく軽減されます。