教えるスキルは、「自然」には身に付かない。

 「クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック[第3版]」の31ページ(※)で、ロバート(ボブ)・パイク氏は、学習について次のように定義づけています。

ロバート(ボブ)・パイク 著「クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック[第3版] 」31ページより引用
ロバート(ボブ)・パイク 著「クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック[第3版] 」31ページより引用

 学習には5段階あります。第1段階は「意識していないし、できない」段階。これは例えば、車の運転を学ぶ際、運転するために求められる知識や必要なスキルがどの程度のものなのか。子供の頃など、実際に運転してみようと思うまでは意識したこともないし、当然運転することもできない段階です。

 大人になって免許を取ろうと思い学び始めた時に第2段階に進みます。「意識しているのにできない」段階で、教習所であれこれ教わり、失敗しながら練習しているのはこの段階です。

 免許が取れる頃になると第3段階の「意識してできる」状態になります。ですが、まだ意識的に自分の次の行動を考えながら運転しているので、余裕はありません。

 運転に慣れてくると、いちいち自分の行動を意識しなくても、無意識に体が動き、スムーズに運転できるようになります。これが第4段階「意識しなくてもできる」です。

 ですが、学習にはさらに上の段階があります。それは、自分がこのように無意識にできる段階になったことについて、誰かに教えることができるレベルです。それが第5段階の「意識しなくてもできることを意識レベルに落としこむ」です。自分が理解していたり、実践したりできることを、誰かに教えられるかというと、それはまた別の段階、別のスキルなのです。

※引用文献:クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック[第3版]
ロバート(ボブ)・パイク 著 / 中村 文子 (監訳)、藤原 るみ (翻訳) / 日本能率協会マネジメントセンター / 8,640円(税込) / 424ページ

 先の社内講師の方は、その分野については間違いなく第4段階に達しています。ですが、それを教えることができる第5段階には到達していないということになります。第4段階ができれば、「自然に」第5段階ができるわけではなく、別の段階、別のスキルとして習得する必要があるのです。