「知っている」と「教えることができる」の大きな違い。

 先日、研修内製化をテーマにした講座で、参加者からご質問をいただきました。

 「社内の人に講師をしてもらっているのですが、どうしても一方的な講義ばかりになっていて、参加者が退屈するような研修になってしまっています。『もっと参加者を巻き込みましょう』と何度もお願いしているのですが、一向に変化がなく、どうしたものかと困っています」

 「このテーマといえば、この人」と社内の誰もが認知している、知識も経験も豊富な社員がいて、その方から学ぼうと社内講師を依頼。ご本人も後進に役立つのであればと快諾してくれてスタートしたものの、どうもうまくいかない。参加者は眠気と闘っているし、講師も「興味を持ってもらえないのなら、やる意味がないのでは」と言い始める。

 社内講師による研修では、よくある悩みではないでしょうか。

 その質問をしてくださった方に、こう問い返してみました。

 「その社内講師の方は、参加者を巻き込むような教え方を知っていて、やればできるのに、しないのでしょうか。それとも、そんな教え方をしたい気持ちはあるけど、具体的にどうすればいいのか知らなかったり、できなかったりするのでしょうか」

 すると、少し考えた後「おそらく後者です」とのお答えでした。何かの分野にたけていることと、その内容を教えることができるというのは異なる能力です。その社内講師の方は、「フィードバックしているのに、変えようとする姿勢がない」わけではなく、おそらく自分でも「変えたいと思っているけれども、インストラクショナルデザインやファシリテーションについて、具体的なスキルを持ち合わせていない」のでしょう。