中村文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

 受け身な学びよりも、能動的・主体的な学びの方が効果的である。このことに異論を唱える方は多くないでしょう。最近は能動的・主体的な学びを表す言葉として「アクティブラーニング」という表現も定着してきたようです。「参画型」「参加者主体」といった表現もよく使われています。

 受け身な学びとは、講師の話を聞いたり、何かを読んだり、書き写したりすることで情報を受け取る状態を指すのに対し、能動的・主体的な学びとは、研修に参加している人自身が考え、書いたり、話したり、動いたりする状態を指します。

 今回は能動的・主体的な学び、つまりアクティブラーニングについて、よく耳にする2つの誤解について考察していきます。

グループディスカッションやワークをすればアクティブラーニングなのか

 シンプルな答えとしては「NO」です。講義の後にグループワークやグループディスカッションの時間を設けることだけがアクティブラーニングではない、ということです。参加者が能動的・主体的に関わっていれば、それはそれでよいことなのですが、グループディスカッションやグループワークはあくまでアクティブラーニングの方法の1つであり、イコールの関係ではありません。グループディスカッションやグループワークを取り入れたとしても、講義の時間が受け身のままであるとしたら、そこも能動的・主体的にするべきなのです。

 ではどのようにすれば、「講義を聞く」ことをアクティブにできるでしょうか。そのカギは、「考える」ということにあります。講義の際、「聞く」「書き写す」という受け身な状態ではなく、参加者が「考える」時間を設けるのです。そして、考えたことを書き出してもらったり、また時折考えたことを誰かと共有するなどして、「話す」機会を加えることも必須ではありませんが可能です。

 「考える」時間を設ける方法として簡単に取り入れられるのが、説明の前に課題を出して考えてもらい、その後、解説や答え合わせを行うという方法です。

 例えば、研修で何かの理論を説明するとしましょう。理論を説明する前に、内容についてのクイズを数問出すのです。そして、それを個人で考え、答えの予想を書き留めてもらいます。その後ペアで共有してもよいでしょう。その後に講師がクイズの解答を含めた理論の説明を行います。

 とても単純な手法なのですが、クイズの解答を考える時点で能動的に考える機会になっていますし、講師の解説や理論の説明を聞く際も、「聞く」ことに変わりはないのですが、答え合わせや間違えた箇所の確認という側面が加わるため、ただ単に説明を聞くのとは異なる姿勢が期待できるのです。

 さらに、解説の後、間違えていた箇所について理解の確認をするためにペアやグループで話してもらう機会を設けて、疑問が残らないようにしてもよいでしょう。