理論・理屈が先か、過去の経験・知識が先か

 何か新しいことを学ぶ時、理論・理屈から入るのがよいか、体験や過去の経験や知識を活用して何かに取り組むことから始めるのがよいか、という選択肢があります。理論・理屈から入る研修のデザインが非常に多いのですが、必ずしもそれが最も効果的だとは限りません。

 例えば、新入社員研修で就業規則を理解してもらうような場面を考えましょう。就業規則について順に説明していくというのが、すぐに思い浮かぶやり方かとは思いますが、それではいくら講師が話術を駆使しても、どうしても眠くなったり途中で集中が途切れたりしそうです。それを、最初に過去の経験や知識を活かしてもらう順序にすると、以下のような流れが考えられます。

①判断に迷うようなケースを10個用意する(この場合誰に相談すべきか? これは可能なのか? など)
②社会人として会社で働くのは初めてであっても、これまでのアルバイト経験や一般常識などを駆使して、答えを予想してもらう(グループワーク)
③講師が答えを紹介しながら、就業規則に照らし合わせて解説する
④参加者は答え合わせをしながら解説を聞く

 とても単純なことなのですが、「説明を聞く」という一方的で受け身なものから、「答え合わせをする」ということに変化しますので、解説に対して興味を持ってもらいやすくなるのです。

 このように、最初に何か体験してもらったり、あるいは過去の経験や知識を活用して何かに取り組んでもらったりする順序でデザインをしていきます。

 以上の点に留意して研修をデザインしていくことで、研修が本業ではない社内講師の方でも参加者を自然と巻き込んでいくことが可能になります。

 これから新入社員向けに登壇の予定がある、来年度は社内講師をする予定があるという方は、ぜひ試してみてください。

 このような、社内講師の方へのノウハウや、すでに研修講師をしている方のためのスキルアップのためのノウハウをまとめた本を出版します。ぜひこちらもご参照ください。

中村文子氏の新刊
講師・インストラクターハンドブック
中村 文子、ボブ・パイク 著 / 日本能率協会マネジメントセンター
中村 文子(なかむら・あやこ) ダイナミックヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役
中村 文子

 大阪府出身、神戸市外国語大学 外国語学部 英米学科 卒業。マイクロソフト株式会社名古屋営業所 勤務を経て、P&Gジャパン、ヒルトン東京ベイにて人材育成・組織開発に従事。2005年より現職。2006年にASTDのカンファレンスで人材育成の世界的権威、ボブ・パイク氏のセッションに初参加、大きな衝撃を受ける。トレーナー認定のプロセスを経て、2007年秋、日本人初のトレーナーとして認定される。専門分野は、トレーナー養成、ホスピタリティ、管理職研修、ビジネスコミュニケーションスキル研修など。ホテル業界、製薬会社、電機メーカーなどの業界で、活動中。早稲田大学エクステンションセンター、日経ビジネススクール、日本能率協会にて、講師実績あり。
●ダイナミックヒューマンキャピタル
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●中村文子ブログ
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※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。