中村文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

 社内での研修で講師を依頼されたという方は多いでしょう。4月に新入社員を迎えるにあたって、新入社員研修での講師を担当する予定だという方もいるかもしれません。そんな「社内講師」の方が研修を担当するとき、どんなことに注意すればよいのでしょうか。陥りやすいミスはどのようなものがあるでしょうか。

 まず、研修が本業ではないといっても、社内研修で講師をする以上、効果的な研修を行う責任があるというのは、研修が本業の人と何ら変わりはありません。社内講師本人としても、「眠そうにしている人が多い」「内容を理解してもらえなかった」などという結果は避けたいと思うのは当然でしょう。ですが、教えるためのスキルをしっかりと学ぶ機会もなく、また準備にかけられる時間も多くないという制約の中、何を優先して準備を進めればよいのでしょうか。

 「大勢の人の前で話すこと」や「大勢の人をうまくファシリテーションする」などの対人関係スキルに自信がない方もいるかもしれません。講師には高度なコミュニケーションスキルが求められるというイメージを持つ人も珍しくないかと思います。

インストラクショナルデザインが最優先事項

 確かに、コミュニケーションスキルやファシリテーションスキルといった対人関係に関するスキルは高いに越したことはありません。ですが、時間的制約がある中で準備をする上では、対人関係スキルを伸ばすことは最優先事項ではありません。

 最優先したいのは、インストラクショナルデザインです。つまり、ニーズの把握、目的設定、研修に入れるコンテンツの決定、その順序や時間配分、どのように学んでもらうか(講義、グループワーク、など)についての研修の設計です。

 インストラクショナルデザインが、人が学びやすいようにデザインされていれば、講師の対人関係スキルへの依存率はぐっと下がるのです。逆にインストラクショナルデザインがあまり練られていなくて、講義中心のものになってしまっていると、講師の話術や質問への対応、さらには講師自身の魅力など、講師という人物に依存する割合が高まってしまうのです。