・1時間、時には30分などという短時間で誰かに何かを
 教えなければならない。
・スキルではなく知識を習得してもらいたい。
・参加者30名くらいの予定である。

 このような様々な制約があると、講師が一方的に説明するしかないと思ってしまう人が多いのですが、本当にそれが効果的でしょうか? それで目的は達成できるのでしょうか? 他に可能な方法はないものでしょうか?

 今回はその点について掘り下げていきたいと思います。

「短時間の場合は講師が一方的に話すしかない」という思い込み

 前回のコラム「知識のインプットの先に何を求めるか」では、研修を「単なる知識のインプット」の場とせず、その先を見据えた目的を設定し、デザインするということをお伝えしました。

 短時間の研修で実践面まで考慮した研修デザインにできないという場合でも、単に知識のインプットのみを目的にするのと、その先に求めるものを目的にしてデザインするのでは、研修の効果は大きく変わってきます。「短時間の場合は講師が一方的に話すしかないのでは?」と考えがちですが、それは思い込みです。

 まず、講師が説明した内容を聞いた人は、どれくらいその内容が記憶に残るでしょうか。忘却曲線を踏まえると、1カ月もすると1割も記憶していないということになるでしょう。また、30分間情報をインプットし続けると、情報過多でワーキングメモリーからあふれだし始めます。いずれにしても、あまり覚えられないわけです。

 忘れたら資料を参照してもらえばよいかもしれません。しかし、「忘れたから資料を見返そう」と思ってもらえるのはまだましな方で、資料に必要な情報が記載されているという事実すら覚えていないということも多いのです。そうなると、研修を受けたという事実のみを記憶するだけで、資料を見返そうという発想すら起きない可能性があります。

 また、資料を読めば分かるのであれば、最初から講師の説明は必要がなかったともいえます。

 このように、ただ一方的に説明をするというスタイルから得られる成果はとても小さいといわざるを得ません。伝えたからといって、相手が学んだとは限らないのです。