留意点②:仮説を検証する

 ゴールが設定されることによって、ゴールと現状とのギャップを生んでいる課題に的を絞った分析が可能になります。ここで重要なポイントは、組織の課題には因果関係があるという点です。つまり、ある課題の原因には、それを生み出している別の原因があり、さらにその原因がある、という関係が存在するのです。

 課題分析で陥りがちなのは、①まず指標の数字をすべて集め、②それらの指標に対する課題を定義し、③課題に対する取り組み施策を定義する、といったように、エクセル表を左から右に埋めていくような網羅的なアプローチを取ってしまうことです。この方法では時間がかかるばかりでなく、課題を並列的に羅列しても、そこから因果関係を読み解くのが難しいため、どの課題が根本的に重要なのかといった判断や、結果に直結する取り組み施策の定義が困難になってしまいます。

 論理思考や問題解決の研修では、仮説を立て、それを検証するプロセスを繰り返すことの重要性を教えられますが、ここでも同じことが当てはまります。最初に、ゴールと現状のギャップを生んでいる因果関係の仮説を立て、その仮説を指標によって検証していくアプローチを取ることによって、結果指向で効率的な課題分析が可能になるのです。

 たとえば、女性管理職比率の向上をゴールに置いたとすると、現状における女性管理職比率の低さがギャップです。その状況を生んでいる原因をブレークダウンすると、そもそも女性のプール人材の人数が少ないか、昇格比率が低いといった原因の仮説に分解されるでしょう。さらに、女性のプール人材が少ないことの原因を分解すると、採用の問題、継続就業の問題などが挙げられるはずです。

 ブレーンストーミングなどによって、まず、そのような因果関係の仮説のロジックツリーを作成した上で、それぞれの原因を検証するための指標を設定することによって、課題の全体構造が明らかになります。それらの指標を実際に検証すると、課題の全体構造の中で、現状では、このあたりの原因にはある程度、手が打てているが、このあたりの原因は手つかずになっているといった状況が、視覚的に理解されるようになるでしょう。

 因果関係の仮説の作成は、担当者一人で行うのではなく、性別や職種などの異なる社内のメンバーが集まって検討するのが効果的です。一人で複雑な要素を分析するのは骨の折れる作業です。異なる視点を持ったメンバーが意見を出し合うことによって、発想の広がりが得られるはずです。

 次回は取り組み施策検討のポイントについて、解説したいと思います。

松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。