松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 社長

 女性活躍推進法において、女性活躍の状況把握と課題分析が義務付けられています。また、数値目標の届出や行動計画の社内周知・公表のためには、社内での承認プロセスが必要になるため、社内議論の基となる課題分析が不可欠となります。前回のコラムでも簡単に触れましたが、今回は課題分析の留意点について、より詳しく述べたいと思います。

 政府から行動計画策定指針とともに参考手法が提示されていますが、ここで行われることは組織課題の分析ですので、基本的な問題分析の原則を踏まえて検討することが効果的です。また、女性活躍推進法において求められているのは分析のための分析ではなく、結果を出すことにあるため、網羅的な分析よりも結果指向で考えることが重要です。

留意点①:ゴールを明確にする

 課題とはゴールと現状とのギャップ(乖離)です。したがって、課題を明らかにするためには、変革のゴールが明確に示されていることが不可欠です。

 女性活躍推進法の策定指針においては、女性採用比率、継続勤務年数の男女差、平均残業時間等の労働時間、女性管理職比率の4つの指標が状況把握の必須項目として設定されています。一見すると、これら4指標の達成がゴールと考えられがちですが、策定指針にも示されているように、各企業が最重視するゴールを数値目標として設定することが求められています。

 また、策定指針では複数の数値目標を設定することも推奨されていますが、その際に重要なことは指標間の関連性に留意することです。たとえば、女性管理職比率を高めるためには、十分な人数の女性が採用されていて、かつ就業継続が実現していることが不可欠です。つまり、女性採用比率と継続勤務年数は、女性管理職比率の向上の前提条件となります。

 山登りに例えるなら、女性管理職比率の向上を頂上のゴールとするなら、女性採用比率と継続勤務年数は中間地点のゴールと言えます。もし、これらの指標を同列で横並びに見てしまうと、山の高さがよくわからなくなってしまいます。中間地点の高さがどれくらいで、その先の最終地点の高さがどれくらいか、ということが理解できることによって、変革に要する時間や筋道が判断できるようになるのです。

 このような最終ゴールを示す指標をKGI(Key Goal Indicator)、中間ゴールを示す指標をKPI(Key Performance Indicator)と呼びます。KGIだけでなく、KPIも含めて数値目標を設定することが必要ですが、どの指標がKGIでどの指標がKPIなのかを明確に意識することが重要です。

 企業における女性活躍の状況はまちまちなので、中には、これまでほとんど女性を採用してこなかったため、女性管理職比率の向上などはるか先の話だという会社もあるでしょう。その場合は、女性採用比率や継続勤務年数をKGIとした方が現実的な場合もあります。逆に、女性活躍がずっと進んでいる会社の場合は、女性役員比率や女性部長比率など、より難度の高い指標をKGIとした方がよい場合もあるでしょう。