③管理ではなく開発する

 上司には人事管理よりも人材開発が求められるという認識は、かなり浸透してきていますが、さらに目的語を「組織」にして、上司には組織管理以上に組織開発が求められているという認識を持つことも必要です。前述したように、多様な人材のコラボレーションによるイノベーションが強く求められているからです。

 一人ひとりが別々の価値観で行動しても、チームがバラバラになったり、対立が激化したりしないようにするためには、チーム内で互いの価値観が共有され、承認されている状態をつくり出すことが必要です。上司と部下との対話によって、上司が部下の価値観を理解するとともに、部下も自分の価値観をより認識できるようになることで、相互理解が広がっていきます。また、1対1の対話だけではなく、チームメンバー同士で思いを共有する場をつくることも効果的でしょう。

 異なる価値観を持つ人がいるから、意思決定が近視眼的になるのを防ぐことができます。また、異なる価値観(たとえば安全重視と利便性重視)のどちらを取るかという二項対立に陥るのではなく、双方を活かせる方策が見いだされた時、そこにイノベーションが起こります。

 チームをリードする管理職が組織を統制し管理しようとする姿勢では、メンバーが主体的にコラボレーションする状態をつくり出すことは困難です。そのため、ピープルマネジメントを志す上司は、組織開発を推進する役割を担うという認識を持つことが重要です。

松丘啓司氏のセミナー
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松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。