女性活躍推進というのは女性を甘やかすことだ、という誤解もまだ存在しています。しかし、本当はまったく逆で、女性に対してさらなる能力発揮を求めるのが女性活躍推進です。良かれと思って行った配慮が、会社にとっても、本人にとっても実は逆効果になっていることへの男性管理職の理解が必要です。

変革のステップ②:ピープルマネジメント力の向上

 これらの固定観念を取り払うことが第一歩ですが、それができたとして、これまで男性社員に仕事を付与していたのと同じやり方で、女性に仕事を任せればよいというわけではありません。そこにはワークスタイルの見直しが求められます。

 「残業や休日出勤をしてでもとにかくやり遂げる」といったように、持てる時間をフルに仕事に投入することによって成果を出すというワークスタイルでは、時間に制約のある女性は活躍できません。また、時間に制約がなかったとしても、男性サラリーマン的な価値観の押し付けは女性のキャリア意識を減退させてしまいます。

 そこで、インプット(時間)の量を増やして、アウトプット(成果)を増やすという、これまでの勝ちパターンからの脱却が求められます。これからは、インプットの量は増やさずに、生産性を高めてアウトプットを増やす方法への転換が必須なのです。そのためには、部下一人ひとりの意欲を高め、強みを引き出すマネジメントが必要とされます。

 上司の過去の成功体験に基づいて、同じ方法を一律的に適用するマネジメントではなく、一人ひとりによって異なる能力を最大限に引き出すという、多様性を前提としたピープルマネジメントを行うことがこれからの管理職には求められています。それは、女性活躍のためだけに必要とされるのではなく、価値観がより多様化するこれからの企業組織のマネジメントにとって不可欠な能力なのです。

 多様性を活かすマネジメントは、従来の日本人男性中心の同質的なマネジメントよりもはるかに高度です。そのため、女性活躍推進における最大の要求は、マネジメントのレベルアップにあるといえます。

松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。