池照 佳代
アイズプラス 代表取締役

 研修企画会社の方と話しをしていたところ、「ちょっと前まで“女性活躍”ばっかりだったのに、昨年末あたりから急にどの会社も“働き方改革”がテーマになってきた」そうである。「働き方改革」、そういえばメディアで見ない日はないといっていいくらいのキーワードである。

 本書は、この「働き方改革」に真正面から向き合い、さらに一歩踏み込んだ視点で働き「方」でなく、働く「人」に焦点を当ててこのテーマを捉えている。実際に、改革を起こしたい現場では「方法」を実行に移し、その反応に喜んだり疲れたり、発信するのも動くのも、やはり「人」であるからだ。

 多くの企業ですでになんらかの形で導入されている「働き方改革」だが、その多くは、社員が本質やメリットが分からないままになっていることもあるのではないだろうか。

 「確かに残業は減ったけど、その分仕事が増えて社内がギスギスしている」
 「ダイバーシティ活動、コミュニケーション向上活動、現場改善プログラム、そして部門のES向上……社内で様々な活動が同時並行して走っていて、正直、改革活動自体に疲れている。仕事させてほしい」。
 これらは私自身が現場で聴いた「働き方改革」についての正直な感想の一つである。社員自身にとってもメリットが多いはずのこの「改革」が、気づけばなぜか「もやもや」の種になっているのである。

 この書籍はこれらの「もやもや」に応える一冊である。そもそも目的はなんだったのか? 経営者の想いと従業員が目指すことに共通するメリットがあるのか? この改革は顧客にとってどんな意味があるのか? などについて本質をあぶりだすような質問と著者の数多い経験からの示唆、そしてリアルな事例が紹介されている。「もやもや」を感じている人事・人材育成担当者のみならず、「働き方」を真剣に考えたい、そのために行動を変えるヒントがほしい人におすすめする一冊である。

 実は、私は著者とはお会いしたことがあり、「働き方を本質的によくしたい」という強い思いとともに、幅広い視点を持って企業や組織に向かう姿勢とその事例の豊富さに感銘を受けていた。本書には、そのままの飾らない人柄が表れ、語り口調で読みやすい(見やすい)構成やデザインにも著者「らしさ」が表れていると感じた次第である。

参考書籍

『仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方』
沢渡あまね 著 / 技術評論社 / 1,598円(税込) / 224ページ

池照佳代氏の講演
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8/1東京 女性リーダーのための「周囲を巻き込む」コミュニケーションスキル
8/2東京 「働き方改革」リーダー養成講座

池照 佳代(いけてる・かよ) 有限会社アイズプラス 代表取締役
池照 佳代

 約14年間、マスターフーズリミテッド、フォードジャパン、アディダスジャパン、ファイザー、他にて一貫して人事を担当のちアイズプラスを設立。人材・組織開発コンサルタントとして、主に企業向けに採用から教育、評価などの人事制度設計支援・コンサルティング、タレントマネジメントやダイバーシティ、女性活躍推進施策の企画・提供、エグゼクティブコーチング、EQ(感情知性)開発支援を提供している。このほか、NPO法人キーパーソン21の理事を務め、全国の学校現場に児童、社会人(企業)、学校、地域の協働プロジェクトとしてキャリア教育プログラム提供の支援を行うなど、社会貢献活動を続ける。CDA(キャリアデベロプメントアドバイザー)、EQGA公認トレーナー/プロファイラー。
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