株式会社ジェック マネジャー
嘉顧(ジャグ)企業管理諮詢(上海)有限公司 副総経理
薛 晴(せつ せい)

 最近、クライアントの日本人経営者と人材育成についてお話しすると、次のようなことをよくお聞きします。

「中国人の幹部を育てたい。そして、日本人の駐在員は全部引き揚げたい」
「次世代の経営者を中国人にしたいけど、なかなか条件を満たす人材がいない」等

 この考えの背景にはいくつか要因があります。まず、中国へ進出した日本企業のビジネスモデルが変わったことが考えられます。

 日本企業の中国進出第1次ブームの1985年頃から、すでに30年が経ちました。当初は単純に「中国で製造して日本へ逆輸出」でした。しかし、現在はほとんどが「中国で現地開発、調達、製造、販売」というビジネスモデルにチェンジしています。そのため、中国の市場や消費者の好みを熟知する中国人人材が直接経営に携わった方が効率が良いのです。

 次の要因は、最近の中国経済環境が不安定なことです。今年6月中旬の上海株式市場で起きたドラマチックな株の急騰と暴落は、中国の実体経済に大きなダメージを与えてしまいました。

 中国国内市場は確かに以前より活気が失われてきています。進出した日系企業にとっては、人件費の上昇と「円安・元高」に今回の経済減退の一件と、まさに泣きっ面に蜂です。この窮地を脱するための特効薬はコスト削減で、駐在員の引き揚げは特効薬の中でさらに“即効性”があると言われています。

 では、どんな人が「経営者になれる人材」でしょうか?そもそも人材育成には「時間、費用」という投資が必要です。経営者になれる人材の育成にはさらにこの投資がかかります。育成の投資効果を向上させるにはどうすればいいでしょうか?

 「人材」育成を手掛ける前に「材料」の見分けが必要です。どの会社でも、重点的に投資するのは「中心人材」です。「中心人材」には3種類あります。

中国人は乾いた砂、日本人は粘土

 現在・将来の経営者となる「リーダー人材」、開発や営業の鍵となる「ハイパフォーマンス人材」、そして会社の方針戦略を実行し、現場を束ねる「マネジャー人材」の3つです。

 日本人の経営者が育成したいのは「リーダー人材」です。この人材にとってもっとも問われる素質は「理念の共鳴」と「ビジョンの創出」、「理念を貫き、ビジョンを実現する」ことです。

 中国革命の父とも言われる孫文は「中国人は乾いた砂のようだ、日本人は粘土のようだ」と言っています。それは“中国人は「バラバラ」、日本人は「すぐに固まる」”という、国民性の違いの指摘です。そのバラバラになる“砂”の国民を団結させるために、「ビジョン」の役割が大きいのです。