中国企業の「国際化人材育成」が遅れている理由とは

 では、「国際化人材」育成を積極的に取り込んでいるのはどこでしょう? それは学校です。特に大学は近年「国際化人材」の育成に力を入れています。その具体策の一つは交換留学生プログラムです。

 一方、企業はどうでしょうか? 私の調べたかぎり「国際化人材育成」を打ち出している企業はほとんどありません。また、研修市場においても語学研修や異文化知識の研修以外は本格的な「国際化人材」の研修はありません。その点については日本との大きな違いです。

 その理由の一つは、個人が海外に行くことが多いのに対して、中国企業の海外進出はまだまだ少ないからです。

 また、日本と違い多くの中国企業は国内市場の開拓だけでも十分間に合っているからです。したがって、中国企業にとっては「国際化人材」は少し遠い話なのです。

 しかし、世界経済はより緊密化、一体化するのは間違いありません。国内の市場だけでよいと思っても、外からの競争の波に一瞬で飲み込まれる可能性があります。その競争から勝ち抜けるには、やはり「グローバル」という波に上手に乗るしかありません。

 次第に、「国際化人材」は中国企業の経営課題として浮上してくるでしょう。今後、ぜひ日本のグローバル人材育成の方法を参考にして、中国現地企業に必要な「国際化人材」の育成方法を模索していきたいと思います。

薛 晴(せつ・せい) 株式会社ジェック マネジャー / 嘉顧企業管理諮詢(上海)有限公司 副総経理
薛 晴

 中国江蘇省無錫(ムシャク)市出身、文部科学省の国費留学生。上智大学大学院経済学博士前期課程修了。経営学修士(M.A)。主に流通、通信、IT関連、メーカー、サービスなどの業界の日系大手企業向けのコース開発、研修担当、及び人材戦略のコンサルティングに従事する。中国現地法人の立ち上げを経験し、現在上海駐在。上海を中心とした中国に進出した日系企業向け、人材戦略のグランドデザインから能力開発プログラムの設計、研究教育の実施、成果検証までのトータルコンサルテーションを提供する。
 「中国ビジネスヘッドライン」にて、コラム連載中(URL:http://www.chinabusiness-headline.com/author/setsusei/

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。