仕事柄か、今年に入ってから耳にしない日はないといってもいい「働き方改革」。新しい働き方に期待を寄せる声が高まっています。クライアント先では、時間外労働が単月100時間を超えるケースに出合う頻度は減り、面接指導の対象も以前は100時間超や80時間超だったのが、60時間超や45時間超での運用が増えています。

 2017年9月15日、労働政策審議会による「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の答申が発表されたことも記憶に新しいことと思います。

 本要綱は、今年3月に政府の働き方改革実現会議がまとめた実行計画に基づき、「長時間労働の是正に向けた時間外労働上限規制を強化する労働基準法の改正」「雇用形態にかかわらない公正な待遇確保のためのパートタイム労働法・労働契約法・労働者派遣法の3法の改正」がメインです。企業の労務管理・労働衛生管理において、大きく関わる要素がいくつも盛り込まれています。

 厚生労働省案がおおむね妥当と認められ、平成31年4月1日の施行期日に向けて、政府は要綱に沿って具体的な法律案の作成に取りかかることになります。

<要綱のポイント>
今回は長時間労働の是正・削減と、多様な働き方実現について。

労働時間の見直し

 時間外労働の上限を原則月45時間、年間360時間とし、臨時に特別な事情があっても単月100時間未満と上限を規制。違反には特例の場合を除いて罰則が課されます。罰則付きの時間外労働の上限規制が導入されることは初めてで、大きな改革といえます。

 しかし、建設事業、自動車運転業務、医師については例外で、その特殊性を踏まえて規制が5年間猶予される見込み。医師には応召義務がありますし、それぞれの医師の長時間労働によって医療現場が維持されている側面もあるので、実際に現場レベルで対応できるまでには時間がかかりそうです。

 また、平成22年の労働基準法改正で決定した月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、これまで中小企業は適用が猶予されていましたが、猶予措置が廃止され、会社規模を問わず適応になります。平成34年4月1日(改正法律案施行から3年後)に猶予期間が終了し、中小企業においてもこの割増賃金を支払うことになります。60時間を超える残業が発生しないように対策を取りなさいというメッセージに受け取れます。

 さらに使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して有給休暇を与えなければならなくなります。長時間労働の抑制につながると共に、疲れを癒やし健康を保つためには休暇取得が不可欠です。