本人の意思だけでなく、生活リズムは適切か? 再発予防策はできているのか? ストレス耐性は常勤職員としての勤務に耐えうる程度に回復しているのか? 復帰先の就労条件はどうなっているのか? など客観的情報を集めてから複合的に診断してほしいところです。このような判断を下すための連携を行っていただくことは、産業医の立場としても歓迎です。私が主治医として復職可の診断書を作成する場合には、「復職して、当面(最低6カ月)安定して働くことができる状態」と太鼓判を押せることを目安にしてきました。

「ブラック産業医」と言われないために

 最後に、事務所の方針としても、「主観的な意見だ」などブラック産業医と誤解されないために気をつけていることを簡単に紹介します。原則は、疑問を抱かれた時、しっかり胸を張って中立な立場から判断理由を述べられることを基本姿勢にしています。

・会社と本人の架け橋になれるよう、双方の解釈の交通整理を行う。
・産業医の役割や立場を本人へ説明する(主治医との違いなど)。
・産業医の訪問頻度(面接可能な頻度)、休職期限などを
 事前に確認する。
・復職に必要な回復基準や必要条件を事前に説明する
 (会社の規模、余裕によって異なる)。
・客観的なデータや記録を集めて評価する
 (生活記録表、通勤練習の結果、再発予防に対する考え)。
・必要に応じて主治医と連携をとる。
・判断に迷う際は、事務所内の複数の専門家でケース検討を行う。
 場合によっては事業場内で復職判定委員会を開催し
 多角的に検討する。

PR

企業関係者のためのストレスチェック活用セミナー
《改めてストレスチェック制度の課題と活用方法を考える》
日時:2017年7月11日(火)・7月27日(木)
会場:持田製薬ルークホール(東京・新宿)
主催:日本精神科産業医協会
詳しくはこちらから

石井 りな(いしい・りな) 精神科専門医、産業医 / フェミナス産業医事務所、(株)プロヘルス代表
石井 りな

 千葉大学医学部卒。総合病院にて研修後、精神科病院や精神科クリニックに勤務。並行してうつ病リワーク施設や企業向けメンタルヘルス支援機関を経験。精神分析・力動的精神療法、認知行動療法などの精神療法も学ぶ。診療や企業での経験を通じて、従業員の健康対策は企業の生産性を高めるうえで必要不可欠だと確信。「健やかに活き活きと仕事に挑戦し続けられる社会」を目指し、精神科産業医の立場から企業を支援したいと思い、女性医師を中心にフェミナス産業医事務所を設立。現在、多くの企業で産業医として活動する傍ら、大学で費用対効果の高いメンタルヘルス対策についての研究も行っている。
九段下駅前ココクリニック ブログ ツイッター
フェミナス産業医事務所

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。