前回は休職期間が短い場合に生じやすい問題とその対策を挙げました。今回は、休職期間が長い場合(1年以上)を考えてみます。

 休職と一口にいっても、休職中の給与の取り決めは会社により異なります。休職期間が長い企業の場合には給与が支払われる期間や減額期間がかなりあり、その後に無給期間(傷病手当の受給)が続くケースが多いと思います。一見とても手厚い休職規定なのですが、そこで生じる問題点とは何でしょうか。

職場の不安増悪、休職者と会社との心理的距離感

 休職者にとってみれば、期間を意識しすぎず安心して休めることに越したことはありません。給与が支払われるのであればなおさら。休職者本人だけでなく家族も「給与が支払われているなら無理せずゆっくり休めば?」と勧めることも多いでしょう。

 主治医としても、本人の復帰意思が不明確なうちは休職期間がある以上ゆっくりと治癒に向けていくはずです。多数の企業で産業医をしている経験からいえば、休職期間が長く設定されている方が復帰までの期間は当然、長くなりがちです。

 しかし、ここで休職者と職場でギャップが生じてしまうことがあります。

 「本当に復帰する意思があるのだろうか」「周囲は◯◯さんばかり休みをとってずるいと感じているようだ」「休職の連鎖が起きては困る」……など。

 職場にとっていつ戻ってくるか分からない不安、欠員の長期化は確かに非常に大きな問題です。お聞きしてみると創業当時からの就業規則のままであることもあります。見直しを行わないばかりに、メンタル休職者が増加した際に人事担当者は休職者と欠員に困惑する部署のはざまに立つこととなり、大きなストレスが生じます。

 産業医に助けを求められ「早く復帰できるよう仕向けられないか」と相談を受けたことも少なくありません。しかし、就業規則上の休職期間に守られている以上、面談で誘導して早めの復帰を促すことなどは到底困難です。また、上記のように周囲がいくら(否定的な視点で)心配しても残念ながら本人の復帰意思にはつながらないでしょう。

 そして長期休職の末に晴れて復帰となっても、ブランクができてしまった焦りと人間関係での孤立を感じることも多く、残念ながら再休職や退職に至ってしまうケースもあります。人事担当者にとっても、私たち産業医にとってもあれだけ長期間フォローしたのに、という失望感が生じるケースとなってしまいます。

 対策としては、まず長期の休職期間中に、可能な限り企業と休職者のつながりを保つことが重要です。職場との連絡で病状の悪化がある場合や主治医が控えるよう指示している場合などを除き、休職者と人事担当者が定期的に連絡をとり、産業医との面談も行うことで、企業側は休職者の状況把握ができます。休職者も職場との心理的な距離を保つことができるでしょう。復帰に必要な手順を事前に伝えておき、具体的なイメージを早い段階から持てるようにすることも有効でしょう。