就業規則は会社の裁量に任され様々です。そのため、メンタル不調の従業員への対応として規定の整備が重要であることは以前のコラムでも取り上げました(「休職の繰り返し・長期化を防ぐための対応とは?」)。各企業は、事業規模や予算、マンパワー、経営の実情などを踏まえたうえで、現実的かつ従業員の不調に寄り添える施策を考え、見直していくことが大切です。

 では実際、休職規定の違いでどのような問題が生じるのでしょうか。休職期間を例に取り、短い場合と長い場合で労使双方に生じやすい問題点とその対策を産業医の視点から考えてみたいと思います。もちろん休職期間の長短に明確な境界があるわけではありませんが、比較的多く見られる問題点を挙げてみます。

 今回は休職期間が短い場合(1年未満程度)を考えてみましょう。

早すぎる復帰判断と休職満了ギリギリでの葛藤

 休職期間が長い場合と比較してではありますが、休みに入ったと思ったら数週間~1カ月程度で「もう大丈夫です!」「復職できます!」と復職する気満々の様子で人事面談や産業医面談に来る従業員の方が多い印象を受けます。

 本人の意向を反映して主治医も復帰可と判断し、場合によっては治療・通院があっという間に終了しているケースもあります。休職期間が短いので「早く復帰しなきゃ」という気持ちがどこかにあるのは十分理解できることです。「復帰しよう!」という気持ちになることは何より大事なことですが、気をつけなくてはいけないのは「焦り」です。

 このようなケースでは復帰意思は十分でも、不調に至った要因への振り返りがとても曖昧であることが多いのです。

 再発予防、活動量や生活リズムの維持といったセルフケアなどにあまり目を向けられないまま「休んで体調が回復した=復帰できる」と安直に考えがちです。また、メンタル疾患には症状の波があることに全く目を向けられていないこともあります。

 早すぎるタイミングでの職場復帰は、復帰後に病状の再燃を招きかねません。軽減業務から通常業務になかなか戻せずに職場が困り果て、最終的には再休職に追い込まれてしまう場合もあるのです。そうなれば、結果的に休職が長期化することになります。

 一方で、休職期間が短いばかりに、満了ギリギリのタイミングで「復帰可」の診断書が提出されるケースもあります。

 よくよく聞くとまだ昼寝も多く体調に波がありそうなのですが、「期限が近い=復帰しなきゃ」という気持ちから「大丈夫です」と言うしかない状況に追い込まれているケースもあります。これでは産業医として主治医の就労可能判断に疑問を持たざるをえません。

 「昼寝を減らし活動量を上げてみる」「通勤訓練を行ってみる」など、休職中に行っていただきたいことはまだあります。そうした復帰に必要な手順を知らなかったために、「主治医には大丈夫と言われたので来週から復帰できますよね?」「手順を知っていたらもっと早く診断書を提出していたのに」「手順を知っていれば生活リズムも改善できたし通勤訓練も行えていました」「会社は私を退職に追い込もうとしているのでしょうか」というようなやり取りが休職満了ギリギリで生じます。そうなると、職場、特に人事担当者は休職満了と復職判断のはざまで頭を抱えることになります。