産業医として日々、働く人たちそれぞれの事情と環境による休職ケースを見ています。

 身体的なものは疾患によってある程度は休職期間もおおむね予測できますし、会社側も復職プランが立てやすいです。しかし精神疾患の場合は、症状のコントロールや復職のメドがうまくつかず、気づくと休職期間が延びてしまったり、復職後もスムーズに業務に適応できなかったりする方がいます。

 どのような対策があるのでしょうか。今回は事例に沿って考えてみましょう。

事例

 27歳男性、北海道出身、大学入学時から上京し東京で1人暮らし。独身。24歳で新卒後入社し入社3年目。新入社員がチームに入り、部下がいる立場で働き方が少し変化していました。

 部署の異動はなく、以前より責任の重い仕事を任せられるようになりました。また、期日の迫っている仕事が多く、量も増えたため、時間外労働は平均して月35時間程度で推移していました。その状況下で半年が経過し、徐々に朝の遅刻が目立つようになりました。そして風邪や頭痛といった体調不良で休む回数が増え、ついに有給休暇を使い切り、欠勤も発生するようになりました。

 当時会社は部署ごとに勤怠管理を任せており、フレックスタイム制だったこともあり問題は表面化しませんでした。しかし、ある日突然、『適応障害』と書かれた診断書が提出され、休職の必要があると上司に申告され、その後3カ月間休職に入りました。

 しばらくして、主治医の復職許可が出たため、特段産業医を通さずに、部署の判断で復職可能と診断され、再度職務に復帰しました。ところが半年後、また抑うつ状態と診断され再度休職となってしまいました。

 やっとこの時点で初めて産業医に報告があり、休職中に月1回、状況を共有するために面談をすることになりました。休職中の生活指導や治療状況を確認しながら、徐々に安定した生活ができるようになりました。適応障害に伴う抑うつ状態のため、環境要因(仕事等)の振り返りや次の対処ができるかどうか最終判断を行い、主治医と産業医双方から復職許可が出て、晴れて2回目の復職となりました。以降は定期的な面談フォローを行い、現在は問題なく通常勤務を行っています。

休職時の対応について

 このケースの初回休職時の経過について何か気になるところはあるでしょうか。

 指摘するべき点はいくつかあるのですが、この症例では勤怠管理を少し早くするべきだと考えます。最近はフレックスタイム制が導入されています。保育や介護での仕事調整や通勤ラッシュを避けられるのでとてもよい制度だと思いますが、逆に遅刻が目立たずに、本人の異常サインに気がつかない可能性があります。ささいなことかもしれませんが「朝起きられない」「会社にスムーズに行けない」というのは何かの不調サインであることが多いです。疲労であったりストレスであったり、身体疾患も隠れている可能性もあります。

 もちろん仕事の内容で午後出勤、夜勤がある場合は別ですが、決まった時間に起きられなかったり動けなかったりするのは何か初期トラブルだと考えてください。そうした兆候のある人に面談を行ってみると、本当はアルコール依存症、うつ病、過食症、身体疾患ではパーキンソン病、膠原病だったなど、いろいろなケースが見られます。