厚生労働省が発表した今年6月の正社員有効求人倍率は1.01倍と、2004年の調査開始以来、初めて1倍を超えました。この数字は、求職する人より企業の求人の方が多いということを示しています。もはや、パートやアルバイトといった形態の従業員だけではなく、人手不足は正社員にも及んでいるのです。

 帝国データバンクによる企業の動向調査では、正社員について「不足している」と回答した企業は45.4%にも上ったそうです。1年前と比べて7.5ポイントの上昇であり、こうした正社員不足が企業の収益にマイナスに働くだけでなく、商品やサービスの新規開発といった根幹的な分野に影響を与えると、帝国データバンクは指摘しています。
(帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査)

 もう一つ、データを紹介しましょう。

 独立行政法人中小企業基盤整備機構の調査によると、7割以上の中小企業が「人手不足」を感じており、その19.7%が「かなり深刻」、33.1%が「深刻」と答えています。

 さらに細かく見ていくと、中小企業がいかに危機的状況に置かれているかが分かります。

「人手不足の影響をどのような点で感じているか」という質問には、製造業、サービス業、建設業、運輸業、小売業などどのような業界においても「人材の採用が困難」という答えがトップで、運輸業に至っては9割を超える企業がそう回答しています。

 つまりは、どこでも新規採用がひどく困難であることが分かります。となれば、少なくとも今いる従業員について、辞めさせてはならないということになります。

 ところが、多くの企業が逆の方向に動かざるを得ない状況に陥っているようなのです。

 というのも、「人材不足への対応をどのように行っているか」という問いに対し、製造業では「従業員の多能工化・兼任化」が1位で、2位は「残業の増加」。小売業では「残業の増加」がトップになっているのです。言ってみれば、多くの業界で「数少ない従業員をこき使う」ことで対応しているわけです。これでは早晩、残っている従業員も去ってしまいかねません。
(独立行政法人中小企業基盤整備機構:人手不足に関する中小企業アンケート調査)

 「業務の一部を外注化」と答えている企業も多くありますが、コスト高になることは目に見えており、そのつけは従業員に返ってくるのではないかと考えられます。