石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 大手損保会社で営業企画部の課長職を勤めるY氏は、現在43歳。入社以来、地方の販売店を転々とし、主に自動車保険の販売に携わってきました。どこも比較的小さな所帯だったため、上司と腹を割って意見交換する環境の中で育ち、自分が上司となってからも部下とざっくばらんに接してきました。

 そんなY氏が今の部署に異動になったのは、2年前の4月のことです。以前より「そろそろ本社勤務を」と願っていたY氏にとって嬉しい異動でしたが、そこから思ってもいなかった苦悩が始まりました。

 新しくY氏のもとに配属になった部下の中には、理屈っぽい20代後半の社員がいました。「この仕事の意味は何か」というようなことをいちいち問うてくるくせに、親しいコミュニケーションを図ろうとするわけでもありません。地方の販売店にはいなかったタイプで、Y氏はどう扱っていいのか困惑しました。それに何より、反抗的な態度が上司として愉快ではありません。
「俺は、あいつのせいでイライラさせられっぱなしだ」

 Y氏は大きなストレスを抱えるようになりました。そろそろ我慢も限界と思っていたところ、その部下が長期休職を申し出てきたのです。理由は「ストレスによる慢性的なウツ状態」で精神科医の診断書も持っていました。

 Y氏は人事部に呼ばれ、部下との関係ついて聞かれました。Y氏にしてみれば「こっちこそウツになりそうだ」と言いたいところですが、人事部は上司としての対応を問題視しているかのようでした。