一つの会社に勤めながら他の仕事も掛け持ちする「パラレルキャリア」という言葉が浸透しつつあります。言い方を変えれば「兼業」で、以前だったら、どちらかというとネガティブな捉えられ方がされました。

 というのも、兼業している目的はたいていお金であり、一つの勤め先では、その人が満足するだけの収入が得られていないケースが多かったからです。

 このとき、SEや医師など、特定の技術を持っていればより有利で、そのスキルを生かしながら週末などに勤務先以外の場所でアルバイトができました。いずれにしても兼業先は、主たる職業の延長線上で探すことがほとんどでした。

 しかし、いま言われているパラレルキャリアは、意味がまったく違ってきています。目先のお金ではなく、将来のために、むしろ現在従事している専門分野とは別の種類の仕事に携わろうとする人が増えているのです。

 私の知る限りでも、有名企業で高い評価を得ている課長クラスが何人も、就業時間外にいろいろなことをやり始めています。彼らは、3年後、5年後、10年後に、「いまのままでお金を稼ぎ続けられるかどうか」について疑問に思っているからこそ動いているのです。

 今後、日本のビジネス環境にはいくつかの大きな変化が起こります。

 まずは、労働人口の激減。働き続けたい高齢者は増えても、若い労働力が圧倒的に不足します。

 さらに、AIに代表される技術革新が次々と起きるでしょう。今後私たちが目にする技術革新は、これまでの比ではありません。

 2030年前までに、いまある仕事の半分は消滅するとまで言われています。10年ちょっとの間に、いまからは想像もできない事態になっているのです。

 「労働人口が減った分をAIに補ってもらえばいいではないか」というのは楽観的に過ぎ、実際には、労働力が足りないために淘汰される企業と、働きたいのに仕事がない労働者の両方が生まれるのではないかと思います。

 もっとも、そうした激変する世の中には、新しい仕事も絶対に生まれます。働きたいのに仕事がない人は、その新しい仕事についていけないからで、ついて行ける人は大きな成功を手にできる可能性があります。