働き盛りのマネジャー職の人たちと話をしていると、最近、彼らのなかに漠然とした不安が広がっているのを感じます。今はプレイングマネジャーとして部下育成を行いながら自分の業績を上げることに精いっぱいの彼らですが、ちょっと一息ついた時に、「10年後も自分は期待される存在でいられるのか」と考えてしまうようなのです。

 このように、彼らを不安にさせる原因はいくつかあります。

 まず大きいのが、上司や先輩たちの姿です。残業もいとわず「会社命」でやってきたはずの人たちが、定年間近になって早期退職を迫られるなど、不本意な思いをしているのを目にする機会が増えたことで、思わず自分の未来を重ねてしまうようです。

 さらに、AIの開発が急激に進みつつあることもあるでしょう。「機械に自分の仕事が奪われるかも」というのが、絵空事ではなくなっているのです。

 多くの人が年金制度の破綻を心配するなかで、支給開始年齢を引き上げるために、国は企業に雇用延長の働きかけを強化しています。しかし、企業には無尽蔵にお金があるわけではなく、多くの場合「しかたないから雇用延長してあげるが、給料はごく低く抑える」という態度に出てきます。今定年を間近に控えた人たちは、まさにこうした扱いを受けているわけです。

 ただし、一方で人材不足はますます深刻化していきますから、能力のある人はいくつになっても高い給与をとって働けるはずです。

 また、現在、人間が行っているかなりの仕事を、AIがこなすようになるのは間違いありません。新聞記者の世界では、天気予報やスポーツの試合結果といった事実を羅列するだけでいい記事についてはAIが引き受けることになりそうですし、病気の診断も、ベテラン医師よりもAIの方が正確に行えると考えられています。となれば、高度な専門性が必要とされた業務においても、失われる仕事が相次ぐでしょう。

 しかし、AIの出現によって新たに生まれる仕事も相当数に上ると私は考えています。

 つまり、マネジャーたちが漠然と感じている不安は確かに現実のものとなるでしょうが、そこに新しいチャンスも見いだせるということです。

 恐らく、今は大変革の時期であり、今後どういう人が生き延びてどういう会社がつぶれていくのか誰も明確には予測できません。間違いなく言えるのは「いろいろ変わる」ということだけです。

 そういう時代には、うろたえてドタバタせずに「自分は何ができるのか」を常に正しく把握しておくことが求められます。どういう状況になったとしても、生かせるスキルを持っておくことです。