石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 課長クラスになると、自分の業績を伸ばすことのほかに、部下育成という重要な仕事が加わります。しかも、ただ部下に仕事を教えればいいのではなく、「人を評価すること」が求められます。ところが、これがなかなか難しいのです。

 私の知人に中堅メーカーの経営者がいます。彼は日頃から「人材こそ宝だ」と考えており、その評価を正しく行いたいと望んでいました。しかし、実際には、部署やチームによって部下たちの評価に大きな開きがあることに危機感を抱いていました。

 その会社では、毎年2回、査定の時期になると管理職に評価シートを渡し、部下一人ひとりの評価を書き込んでもらうシステムをとっています。このとき、文章で記入してもらうと比較のしようがないので、共通項目に点数をつけてもらうようにしていました。「積極性」「協調性」「貢献度」など5つの大項目の中にさらに小項目を立て、15ほどの項目ごとに「1=できない」「2=あまりできない」「3=普通」「4=できている」「5=かなりできている」で評価するという具合です。

 しかし、明らかにA氏のほうがB氏よりも高い評価を得ていいはずなのに、B氏のほうが総得点で上回るということが、あちこちの部署で実際に起きていました。

 こうした評価は結局のところ、点数をつける上司の好き嫌いや考え方、厳しさの度合いによって変わってしまうのです。

 たとえば、「積極的に仕事の提案を行う」「他者とのコミュニケーションを欠かさない」などといった項目は、いったい何をして「イエス・ノー」が分かれるのか。それは評価する人の腹一つと言えます。

 これでは、あえて共通した評価項目を設けた意味がありません。意味がないどころか、現実とは違った評価がまかり通るのですから、かえってマイナスと言えるでしょう。

 相性がいい上司についた部下は実際よりも高く評価され、そうではない部下はなかなか出世もできない。こうした「不可解な」評価は、社員の士気を大きく損ないます。