日本生産性本部が毎年、新入社員に対して行っている「働くことの意識調査」の結果が公表されました。この調査は昭和44年度から続いており、その時どきの社会情勢を反映した、若者の資質の変化が見て取れます。マネジメントに欠かせない内容となっており、私はいつも参考にさせてもらっています。

 平成30年度は新入社員1,644人に対してアンケートが行われました。

 まず「働く目的」について、いくつかの選択肢を挙げて聞いています。答えのトップは「楽しい生活がしたい」の41.1%。この回答は、ここ15年以上1位を堅持し、しかも右肩上がりで増え続けています。今の若者たちを見ていれば、非常に納得がいく結果です。

 注目したいのは2番目の答えです。10年ほど前までは、「経済的に豊かになる」と「自分の能力をためす」が拮抗していました。ところが、明らかに2つの方向に分かれ、「経済的に豊かになる」が急増、「自分の能力をためす」は急落しています。

 30年度の調査では、「経済的に豊かになる」が30.4%、「自分の能力をためす」は10.0と過去最低になりました。

 要するに、新入社員たちは「楽しい生活をするためにはお金はあった方がいい」ということは分かっているものの、自分の能力と楽しい生活についてはあまりリンクして考えていないということでしょう。

 また、「若いうちは進んで苦労すべきか」という質問について、過去に70%近くを占めたことがある「苦労すべきだ」が、30年度は50%を大きく下回り、「好んで苦労することはない」が34.1%と過去最高になっています。

 そもそも、圧倒的に売り手市場の現在、自分にむち打って頑張るような状況を若い人たちは求めていないということが、この調査から明らかになっています。

 そこをよく理解したうえで新入社員を指導しないと、彼らはあっという間に辞めていってしまいます。

 私もそうですが、マネジャー世代は「自分の能力を試すのは面白いし、苦労することにもそれなりの価値や意味がある」ということを体験的に分かっています。だからつい、「○○君のためを思って」と、若い部下に成長を促すための負荷をかけたくなります。しかし、それはやめておいた方がよさそうです。

 ビジネスに限らず、恋愛関係でも友人同士でも、私たちは「あなたのためを思って」という論法を、わりと考えなしに使ってしまいます。しかし、こちらがよかれと思っていることと、相手が望んでいることが一致していることはあまりありません。