石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 毎年4月になると、大企業の入社式の様子がテレビのニュースで流されます。

 大学を出たばかりの若者がズラリと並び、社長の訓示を聞いているのを見て、日本に来ている外国人はたいていびっくりします。というのも、新卒一括採用などを行っているのは日本くらいしかないからです。

 まだ社会に出たことがなく、どんな仕事ができるかも分からない学生を、大量に採用するなど他国では考えられないこと。新卒であるとか中途であるとかは関係なく、一人ひとりのスキルを見極めた採用が、どこでも重視されています。

 もっとも、日本でも今後は、諸外国と同様の流れになっていくのは確実です。今の時代、一人ひとりの動機づけ条件は違っており、大量に採用した人たちが同じように働いてくれるなどということはありません。

 これから圧倒的に人材が不足していく時に、動機づけ条件も把握しないままに大量採用し、ミスマッチによって大量に離職させてしまうということを繰り返していたら、その企業は成り立ちません。

 ニーズに合った人材を確実に採用し、その人材が辞めてしまうことがないように対応していくことが、日本企業にとっても必須なのです。

 現場のマネジャー職には、大事な人材をいかに「有効活用」していくかが問われているわけですが、そのためには、働き方や評価制度など一律に考えるのではなく、一人ひとりに合わせたオーダーメイド型のマネジメントを行っていく必要があります。

 政府主導の「働き方改革」を待つまでもなく、一刻も早く動き出さねばなりません。

 私は先日、アメリカとヨーロッパを2週間にわたって視察してきました。そこで分かったのは、欧米企業ではオーダーメイド型のマネジメントが予想よりはるかに進んでいるということでした。

 たとえば、日本の育休や介護休暇に当たる制度などがしっかり機能し、従業員はそれぞれの事情に合った形で仕事を続けています。

 男性社員でも、子どもや高齢の両親のために半日で会社を後にする人もいるし、女性社員でもプロジェクトの中心メンバーに選ばれることを最重要視している人もいます。

 そうした、一般的な属性では判断できない一人ひとりの動機づけ条件に対応するために、欧米企業では、きめこまやかな「面談」を行っているのです。

 結局のところ、「人は話しをしなければ分からない」ということに企業が行き着いたということでしょうか。

 私が視察した欧米の企業は、多くが週に数回の割合で従業員と個別面談を実施していました。1回1回の時間は短いのですが、そこで新たな従業員の要望を吸い上げ、いち早く対応することで、離職率を下げることに成功しているようでした。