今回は極めて現実的な話題を取り上げたいと思います。あなたの部下たちが、今の仕事を好きでやっているかどうかについてです。

 結論から言ってしまうと、おそらく大半の部下は仕事など好きではありません。生活のため、プライベートを充実させるために働いているだけです。

 もちろん、仕事そのものに生きがいを見いだし、自分で問題点を見つけ、その解決策を探っていくような部下もいるでしょう。しかし、そんな人はほんの一握りです。

 もし、あなたの部下たちがみな、活力に溢れ生き生きと働いているように見えるとしたら、そのように振る舞わなくてはならないと彼らが努力しているだけかもしれません。そこで彼らの本心を見誤ると、マネジメントもずれたものになっていきます。

 こんなことを言うと、あたかも私が日本企業やその経営陣、プレイングマネジャーとして必死に働いているみなさんをおとしめているかのように誤解されそうですが、それは逆です。私は、みなさんを応援しているからこそ、現実的な目を持ってほしいと願っているのです。

 さもないと、よかれと思っているマネジメントによって、かえって部下たちを疲弊させてしまうことになりかねません。

 ある小売業で販売促進部の課長職を務めるA氏は、毎年恒例の季節イベントで、一つのブースを入社4年目の部下B君に仕切ってもらおうと考えました。いつも、前向きな姿勢で仕事に臨んでいるB君に、チャンスを与えるつもりだったのです。

 「去年よりも売り上げが落ちない範囲でなら、B君の思うとおりにやっていいから。若い世代にアピールできるブースをつくってくれよ」

 B君を呼び出し、細かいことは指示せずに、大きな路線だけを伝えました。マッキンゼー方式の高度なマネジメントを行ったわけです。その理由は、A氏自身が上司からそうやって育てられ、それをうれしく感じ取って成長してきたからです。

 ところが、A氏が部下たちについて「自分と同じように」捉えていたことが、B君に大きな負担を与えてしまったようです。翌日B君は「風邪をひいた」という理由で欠勤し、3日ほどして「やはり自信がない」と言ってきました。結局、ベテラン社員がその穴を埋めたのですが、以来、B君はA氏とまともに顔を合わせることを避けるようになりました。

 このような、上司と部下の認識のすれ違いは、ビジネスの現場で極めて頻繁に起きます。