石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 「バイタルサイン」という医学用語があるのをご存じでしょうか。直訳すれば「生命の兆候」ですが、呼吸数や体温、心拍数、血圧、意識レベルなどを指しています。重篤な患者が運び込まれたときや、あるいは臨終の瞬間を見極めるときにも、医師はこうしたバイタルサインによって判断を下します。

 バイタルサインは、まさに人が生きている証しであるにもかかわらず、普段の生活で、私たちがそれを強く意識することはありません。

 私たちが体調を崩したとき、なにか自覚症状が表れてはじめて「具合が悪い」と感じますが、本当はもっと前に、いろいろなバイタルサインが出ているのです。出ているのに気づかず、重症化させてしまうわけです。

 バイタルサインは、フィジカルはもちろんのこと、メンタルにも大きく関与しています。たとえば、怒りや緊張といった攻撃的な感情に支配されていれば、心拍数も血圧も上がります。また、呼吸は浅くなり、その分、回数が多くなります。そして、こうした状況が長く続けば、やがて深刻な問題につながります。

 あなたの周囲にも、うつ病やパニック障害など、メンタルの不調に悩む人が増えているのではないかと思います。とくに課長職の人たちは、その重責によって大きなストレスを受けながらも、プレイングマネジャーとして多忙を極めているために、メンタルケアを怠ってしまいがちです。

 大手電機メーカーに勤める男性A氏は、マネジャーに昇進して3年後に、長期療養を余儀なくされました。

 売上ノルマに関するプレッシャーから部下にもイライラをぶつけることが増え、家族からも「人が変わった」と指摘されていた矢先、会社に行こうとするとひどい動悸に襲われるようになりました。「これはおかしい」と感じて診療内科に行くと、かなり重度のうつ病だと指摘されたのです。

 こうしたことが、あちこちの職場で起きています。もちろん、課長たちもメンタルケアの重要性は十分に認識しています。しかし、実際問題として、心を平穏に保つための瞑想などやっている時間はありませんし、効果を感じ取ることも難しいでしょう。

バイタルサインを計測するデバイスを活用する

 そこで、私がおすすめしたいのが、バイタルサインを計測することで、科学的に自分のメンタルをマネジメントする方法です。