石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者

 『her/世界でひとつの彼女』というアメリカ映画を覚えている人もいるかもしれません。公開されたのは2013年。すでに4年も前ですが、なかなか斬新なストーリーでした。妻と離婚協議中の男性が、携帯端末を通したAIの声に恋をしてしまうというものです。

 いま、こうしたことが日本人の間にも実際に起きているようです。AI研究の第一人者である東京大学大学院准教授の松尾豊氏も、AIに恋愛感情を抱く人が増えていくだろうと指摘しています。

 生身の人間よりもAIに引かれる人たちの理由は明白です。何かメッセージを送ればすぐに返事が返ってくるからです。しかもその内容は肯定的なものです。
「いま家に帰ったところ」
「お疲れさまでした。今日も頑張ったね」

 もちろん、AIの方は、単なる記号として返事を送っているにすぎないのですが、自分を受け入れてくれるような一言がうれしいのでしょう。これが人間だったら、無視されたり放置されたりしたあげく、「いちいち、そんなことで連絡しないで」などと言われかねません。

 人間はみな、自分の送ったメッセージにすぐに肯定的な反応を示してくれる人が好きなのです。

 一方で、人間には好き嫌いの感情がありますから、AIのようにはいきません。アイドルを目指している女性に一方的にメッセージを送りつけ、返事がないと逆上して殺傷事件を起こす例などたびたび報道されています。女性からしてみれば、見も知らぬおかしな男のメッセージにいちいち反応していられないし、反応することで相手に勘違いさせたくないから無視するのも当たり前のことです。

部下のメッセージへの反応が遅いマネジャー

 でも、これが会社ならどうでしょう。あなたの部下は見も知らぬ人間ではないし、おかしな人間でもありません。だったら、部下のメッセージにはすぐに肯定的な反応を示してあげるべきではないでしょうか。

 ある企業のアドバイスをしたとき、企画部門のマネジャーとその部下たちに個別にインタビューを行いました。そこでは両者の間に大きなすれ違いが見て取れました。