産労総合研究所が定期的に行っている日本企業の「教育研修費用の実態調査」によれば、従業員教育にかける年間費用は、2016年度で平均5,786万円だったそうです。もちろん、企業規模によって額面が大きく違い、従業員数1,000人以上の企業では1億円を超えてきます。
■産労総合研究所「2016年度 教育研修費用の実態調査」

 しかし、まだまだ十分とはいえません。企業はもっと、従業員教育に予算を投じるべきです。企業の業績を支えているのは従業員。社屋をピカピカにするよりも先に、従業員に投資するのは当然のことです。

 アメリカの企業は早くから莫大な費用を割いており、GEなどは年間1,000億円を超えるといわれています。今の日本企業の教育制度では、全く競争になりません。

 もともと日本のように終身雇用的発想がなく、中途採用も盛んに行われてきたアメリカ企業では、あらゆる職種・年代の従業員に対し、それぞれ必要とされる教育を与えることが当たり前でした。ところが、日本企業では「従業員教育=新人教育」という色合いがいまだに強く、社会人としての最低限のマナーや、自社の仕事の流れを身に付けてもらうことが主になっています。これでは、本当の意味での競争力強化につながらず、ただでさえ少ない費用を、あまり効果のないところに投じているといわざるをえません。

 産労総合研究所の調査でも、そうした実態が明らかになっています。教育研修の内容について問うた結果(複数回答)は、新入社員教育を行っている企業が93.5%、新入社員フォロー教育が77.5%であるのに対し、中級管理者教育は59.8%、上級管理者教育は56.8%にとどまっています。経営幹部教育にいたっては、28.4%という低さです。

 こうした現実は、日本企業の将来を非常に危ういものにしています。なぜなら、最も大事なリーダーの教育がおろそかになっているからです。

 この調査では、経営幹部を育てるための「選抜型リーダー育成」の有無についても聞いていますが、それを導入している企業は38.2%に過ぎません。

 しかも、リーダー候補の選抜基準(複数回答)は、「人事・業績評価で一定レベル以上の評価をされたもの」が66.3%に上るものの、「役職」も61.1%で、「年齢(37.9%)」「勤続年数(17.9%)」という回答すらあるのです。

 もしかしたら、一定の年齢に達した従業員を「彼は○歳になったから」とばかりに選抜し、お金をかけてリーダー教育を行うという悪い冗談のようなことが、多くの企業で行われているのかもしれません。