東京商工リサーチが2017年における日本企業の経営状況についてまとめたデータによれば、倒産自体は低い水準で抑えられていたものの、中小企業を中心に「人手不足に関連した倒産」が前年より2倍増で推移していることが分かりました。仕事はあるのに、それをこなす従業員がいないために収益を上げられないという状況が、あちこちで起きているというわけです。
■東京商工リサーチ「『人手不足』関連倒産(2017年)」

 本連載でもたびたび述べていますが、人材採用が困難なこれからの時代、若い従業員の離職率を下げることは、経営陣やマネジャーにとって最優先課題となります。

 そもそも、若い人たちはなぜ、せっかく就職した会社をいとも簡単に辞めてしまうのでしょうか。もちろん、売り手市場の今は転職がしやすいという事情もあるでしょう。しかし、彼らは彼らなりに落ち着いて仕事に取り組みたいと思っています。できれば転職などしたくはないのです。

 だから、「今の若い連中は打たれ弱くてすぐに辞める」と、原因を相手に見つけだそうとしている限り、その状況にストップはかけられません。そうではなくて、「離職率の低い職場に変えよう」と、自分たちが問題をグリップする意識が必要です。

 そのために、あなたができることは2つあります。

 1つは、若い従業員とのコミュニケーションを増やし、人間関係を強化することです。ただし、飲みに誘うような古いやり方は逆効果になりかねません。それよりも、就業時間内における接触回数を増やしましょう。

 なにも難しく考えることはありません。すれ違ったときに声をかけるだけでも、関係性は大きく変わってきます。雑談をしているうちに、彼らの動機付け条件も見えてくることでしょう。

 もう1つは、彼らが少しでも早く、そして多くの結果を残せる仕組みをつくることです。具体的には、仕事における行動のハードルを下げ、かつ、どのくらいできているかを計測します。そして、多くの行動がとれるように導いてあげます。つまり、ひと口で言えば「仕事を簡単にしてあげる」のです。

 ところが、私がそれを提案すると、たいていの上司が「そんなことをしていたら仕事のレベルが下がってしまう」と間違った解釈をします。しかし、レベルの高い仕事とは、すなわち生産性の高い仕事であって、なにか小難しい作業をすることではないでしょう。