今の若い人たちは、他人ではなく自分と競争させることで伸びる

細川:今、おいくつですか?

宇賀神:34歳です。

細川:10歳以上若い今の人たちにどういう印象を持っていますか。

宇賀神:「ゆとり」と言われていますが、そんなことはないと思っています。経営者として、上司として思うのは、育て方が変わったなということです。「あいつに負けるな」で育ってきた人たちが10年前20年前の人たちで、最近の子たちの傾向は「あいつに負けるな」と言っても競争はしないけれども、「1年前の自分に負けるな」と言うと頑張るということです。「1年前はここだったよね。今年もここだよね。」というとみんな気持ちが悪くなるんです。ですから、自分と競争させると、今の若い子たちでもすごく伸びると思います。そこを成長させるのが上司たちの仕事だと思っています。

 僕は、スポーツは監督物が好きです。サッカーをやっていたので「GIANT KILLING」が好きですし、そこからビジネスの勉強もさせてもらっています。甲子園も好きで、この夏も試合を見たり、青学の監督のビジネス本を読んだりしました。

 今回1回戦で敗退したのは、明徳義塾や鳴門といった、60代70代の超優秀監督、名将と言われる方たちが率いるチームでしたが、その一方で準優勝した仙台育英の監督の育て方が記事になっていました。

 仙台育英の監督は外から人を入れず、環境も変わるし友達も置いてくるわけだから、わざわざ来る必要はないと言って、来たいと言っても追い返すそうです。それでも来たいという人は入れるようなのですが、どうやって生え抜きを育てるかと言えば、自分たちがどうやったら成長するかを自分たちで考えさせ、校庭を毎日20km走るというようなことは一切しないそうです。

 「GIANT KILLING」の達海監督と一緒だなと思うんですが、いかに部員を成長させるかを監督は死ぬほど考えているんだなと。部員たち自身が考えるための方法を考えるというのが彼の仕事だと思っています。僕もこれまで「いいから背中をみてこいよ」と育ててきたので、これだとやらされ感になるんだなと社員をみていて思うんです。最近は、いかに彼らが成長したいと思えるようにするかに全力を注ごうと思って必死に頑張っています。

細川:NHKで見たのですが、帝京大学ラグビー部の岩出監督が「早稲田、慶応をどう思う?」と部員に聞くと、「素晴らしいです。人気があります。伝統があります」と答えが返ってきたといいます。そこで、監督は「人気や伝統は勝負に関係があるのか?」と言ったそうです。「早稲田、慶応に劣るところはどこか?」と聞くと、「FWの力です。バックスの力です」という答えが返ってきました。そこを強化すれば勝てるのではないかということですね。

 恐らく、岩出監督も仙台育英の監督もコーチングスキルがあって、質問をして考えさせるやり方をしているのではないでしょうか。指示命令で動く人たちは、自分たちで考えて動く人たちには勝てないですよね。状況に応じて自分たちが考えて勝つというほうが、チーム力も高まりますね。