細川 馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

細川:いま、一番興味がある事業は何ですか?

宇賀神:アパレルだけでは3年後には食べていけなくなると思っているので、事業の多角化を考えています。本来であれば、自分たちがいま持っているスキルから多角化するのがよいのだと思いますが、それは僕らのビジョンや理念に即していないので、多角化をしながら、ビジョンや理念に合わせた人材を育成できればいいと思っています。

細川:ビジネスモデルと人材育成は、どちらが先なのでしょうか。

宇賀神:今のところビジネスモデルが先にあって、そこに対して人を育てるか、人をアテンドする形ですね。9月1日からリゾートビジネスを始めるのですが、当初僕らは何のノウハウも持っていませんでした。ホームページを作り、そこに来ていただいたお客様に満足していただくノウハウは、洋服のほうではある程度持っていると思っていましたが、旅行となると全くわかりませんでした。

 迷いもありましたが、自分の好きなことをすれば、そこに向かって努力をするだろうし、人も輝くと思ったんです。僕は自分がやりたいことをやれば、後から人はついてくると思っています。

細川:リゾートビジネスをやろうと思ったきっかけは何ですか。

宇賀神:アパレルだけでは、今は本当に厳しいんです。このままでは僕は楽しいかも知れないけれど、社員は育たないと思いました。今、うちの会社は総勢29名ですが、29名のまま、10年間いることは可能だと思います。ただ、アパレルだけでは、彼らが成長する分野に広げられません。彼らを成長させるためにどうすればいいかを考えたときに、新しいフィールドをつくることだと思いました。アパレルだけでは難しいので、違う分野を今の得意分野からやることも考えたのですが、それは「キラキラ輝く」という意味では違うように感じたんです。

 僕は好きなことの延長でこの会社を始めたので、社員にも「とりあえず好きなことをやってみてごらん」言ってみたのですが、何も出てきませんでした。「私はアパレル会社に入ったんです」という感じですね。社員はサラリーマンで、そんな発想は持たないなと思い、まずは自分が立ち上げようと思ったときに、やっぱり最初は得意なことが出てきました。自分が洋服の次にキラキラ輝けることは何か?旅行だ!という発想です。

 少し調査したところ、旅行代理店の粗利は10~15%でした。価格競争に入ることを考えると、「自分の好きなこと×自分の得意なこと=戦えるところ」だと。ここは自分の得意なことも入れないとビジネスとして成り立たないと思いました。

 2年間のサラリーマン時代もそうでしたし、今のビジネスでもそうですが、僕は粗利を上げるのが得意なんです。しっかりポジショニングして、そのお客様たちが何を本当に望んでいるかを当てて、そのお客様たちに「いいですね」と言われるもので粗利を上げる、それが自分の技だと思っているので、旅行の代理店を普通にやっても自分のメリットを活かせないと思いました。そこで他の会社がやっていないようなものを見つけようと思って動きだしたんです。

細川:宇賀神社長はマーケッターですね。お客様の気づいていないようなニーズに着目して、そこにリーチをかけていく。私がメンズスタイルのホームページを見てスーツを買おうとしても、正直よくわからないんです。こういうおじさん向けのサービスというのはないんでしょうか。

宇賀神:考えてはいるところです。いま、最も市場が大きいのは50代以上の方なんです。自分がマーケッターなのかどうかはわかりませんが、分析すると50代以上の方でそんなに洋服に興味がない方は、例えばユニクロさんで奥さんが買ったものを着ます。一方で洋服に興味がある方は、お金を持っているので、わざわざ僕たちが合ったものを提案しても仕方がないんですよね。

 そういう方たちは「スーツ買うよ。じゃあ、3万あればいい?」というような感覚だと思うんです。僕たちが7千円でもいいものがありますよと言っても、そこに時間も投資しなければなりません。それだったら上が3万円、下が2万円で決して安くはなくても、いつも見立ててくれる人がいるのであれば、その人にお願いしてしまえば問題がないですし、しかもそれがカッコよければそれで満足してしまうんです。男性の場合は、そこから浮気する気持ちがないので、そこには我々が勝負をできるニッチな場所が今はないんです。

細川:自分の寸法を最初に測ってもらって、月に1回オススメのコーディネートの写真を送ってくれれば、たぶん買うんじゃないでしょうか。デパートにもユニクロにも置いていないということになれば、そういうファンも増えるように思います。

宇賀神:そうですね。そこに頑張りたいのですが、50代の方が好まれるだろうなというニッチなデザインが思い浮かばないんです。周りにデザイナーがいないんです。

細川:50代以上の人はだいたい同じような格好をしていますよね。選択する時間もないし、関心もない。ただおしゃれはしたいし、お金もないわけではない。社長のところは斬新なものが多いので、何か提案いただければと思っています。

株式会社メンズスタイル
宇賀神 政人(うがじん・まさと)
株式会社メンズスタイル 代表取締役
1981年:栃木県生まれ。
2000年4月:慶應義塾大学入学。
2004年4月:香水の専門商社に営業として入社。
2005年6月:1年でノルマ達成が1カ月のみ。挫折。
2006年6月:営業で1人だけ1年全部ノルマを達成するまでに成長。会社を退社。
2006年9月:個人事業主:宇賀神政人としてMENZ-STYLE(メンズ・スタイル)を1人で立ち上げる。
2007年3月:株式会社メンズスタイルを設立。
MENZ-STYLE(メンズスタイル):http://shop.menz-style.com/