企業が必要とする「クラウド人材」

細川:「クラウド人材」という単語に非常に興味を覚えたのですが、具体的にはどのような人を指すのでしょうか。

遠藤:データベースやお客さまの基幹業務に関わるシステムの営業は、ものすごく時間もお金もかかりますし、お客さまも大手企業さまが多かったのです。ただ、クラウドはもっと簡単に購入でき、一部のソリューションだけ買えるというものなんですね。そうすると売り方が変わってきますよね。今までは3〜5年のサイクルで売っていたのに、今度は短期間にお客さまに当社製品の良さを理解していただき、サービスを提供しなくてはならなくなったわけです。

当社が提供できるソリューションや機能を、短期間でご理解いただかなくてはなりません。クラウド人材とは、当社のクラウド製品についてきちんと伝えられ、お客さまのニーズにあわせて、訴求できることはもちろん、テクノロジーの知識もある人材となります。

「デジタルネイティブ」という、生まれた時からインターネットや携帯に囲まれSNSを駆使している世代が入社してきていますが、今後はデジタルネイティブの人たちが中心となってビジネスをリードしてもらわないと、古い世代では、追いつかない時代がやってきています。

今のSNSの時代は会社が情報をコントロールできない時代になってきています。外にいる候補者が私よりも情報を持っていたり、会社の評判を左右する情報を持っている場合も多くなっています。これまでとは違う環境でビジネスを行っているという認識が重要になってきます。クラウド時代というのは、そういう環境です。年代に関係なく、この時代を理解し、学び、対応していける人材にオラクルの興味を持っていただきたいです。

やはり環境が変わってきていて、能力の開発の仕方も全く違ってくるはずなんです。トレーニングも1つの形式で、すべての受講者を満足させ、能力を開発することはできません。クラスルーム形式の階層研修のようなものがありますが、それだけで人材育成の効果を期待することも難しくなっています。社員一人ひとりが何に強く、何が苦手かを見極め、何が欠けているかというのがシステマティックに分かっている方がよくて、ゲーム感覚かもしれませんが、自分の強みや弱みをネットで診断するとか、そういうことがどんどん普通に起きてきています。そういうことを理解して、人を育てなければなりません。

細川:オールドファッション的な営業マンはいらないですよね。

遠藤:そういう方の能力や知識が当然必要になることもありますが、それだけで長期的に活躍し続けるのは難しいのではないでしょうか。

細川:お客さまと話しをして、ほしい商品や不都合なこと、こういうふうにしてほしいといったことを聞きながら営業していく必要がありますからね。クラウドは作ろうと思えば安い値段で作れますし、データベースとは桁が違いますよね。

遠藤:そうですね。そうなると、そこに競争がでてくる訳です。何で差別化をするかといわれた時に、1つのソリューションだけではなく、組み合わせがある方が強いですよね。日本のお客様だと、そんなに簡単にクラウドには移行ができない時もあります。例えば、大きなシステムをお持ちの場合、いろんな抵抗があります。そこを上手に捉えて、弊社のクラウドが入るところは採用いただき、順番に拡販していくということが必要になってきます。そういう意味では、日本全体でそういう切り替えをしないといけないのではないかと思います。

日本もずいぶん、市場の変わり方が速くはなってきています。それでも経営者層は、比較的落ち着いた年齢の方が多いので、そのスピードで市場も動いています。でも、これから数年後に経営者になっているのは、全く違う経験をしている若い世代の人たちです。この世代の方が経営者になった時、どのくらい機動力を持った、つまり変化や市場に合わせたビジネスの体制を整えることができるかが鍵だと思います。リーダーも社員も鼻の利く人でないと、恐らく考えているだけでは追いつけない世界に入っている部分があるのではないでしょうか。

細川:私は『ビジネスモデル・ジェネレーション』という本が大好きなんです。分かりやすく言うと、お客さまが望むサービスを作る方法が書かれているのですが、この方法でビジネスモデルを9つの窓に分けて、一方でバリュー・プロポジションキャンバスによって商品開発を進めていくと、すごく売れる商品が作れるんです。

遠藤:お客さまに合わせて、サービスを細分化するんでしょうね。

細川:自社の持つサービスの「顧客セグメント」「価値提案」「チャネル」「収益の流れ」などを分析するんですが、みんなバラバラなんですよね。特に「顧客セグメント」と「価値提案」をみんなで考えることで、プロトタイプができるんです。

ひとつのケースでいうと、コマツはブルドーザーを作っている会社ですが、あまり業績が芳しくなかった時がありました。当時のコマツのビジネスモデルは売り切り型でした。儲からない理由は中国でのブルドーザー販売にありました。顧客からは買った時に3分の1、中間で3分の1、終わりに3分の1が支払われるそうなんですが、最初の3分の1を支払った後にいじって動かなくし、不良品だといって残りの3分の2を支払わないケースがあるそうなんです。そこでGPSをつけて、少しでもいじったら動かなくするようにしたところ、継続的に支払われるようになったんだそうです。ビジネスモデルを売り切り型から継続型に変えたということですね。

あとは星野リゾートですね。同業者を顧客にして、同業者をコンサルする、同業者をゴールドマン・サックスと組んで買収したんです。ですから、システムの会社であれば、お客さまのバリュー・プロポジションとビジネスモデル・キャンバスが頭に入っていると、デジタルネイティブの人たちはそのままクラウドに落とし込めるんじゃないでしょうか。

遠藤:お客さま志向に近いのかもしれせんね。今は自分が欲しいものはネットで購入しますが、私たち世代よりも、若手の人たちはネット情報を効率的に使って、より短時間で目的を達成できる人が多いかもしれないです。

細川:昔は銀行のATMの前にお年寄りが立ちすくんでいましたよね。それと同じように今のITでびっくりすることってありますよね。お金をそのままカードで払ってしまうとか、ある意味怖いですよね。

遠藤:本当にネットの世界がいろんなものを変えていますし、人の変化の度合いを今ものすごく変えていますよね。