細川:今、一番人気のある国はどこですか。

遠藤:やはり本社があるところは強いので、アメリカが多いですね。アメリカはR&D(製品開発)の一番中心にあるところなので、アメリカで力を伸ばしたいと思うエンジニアは多いのではないでしょうか。

細川:アメリカの次はどこが人気がありますか。

遠藤:シンガポールも人気だと思います。安定していますし、安全ですからね。ヘッドクォーター的な、あるいはリージョンの拠点となっているようなところは、より戦略的な仕事も多いですし、他の国とのやりとりも多いので人気があると思います。

GEとオラクルの人材開発の違い

細川:遠藤さんはかつてGEにおられましたよね。GEといえば、人材開発が優れている企業だという認識があるのですが、GEとオラクルの人材開発の違いは何でしょうか。

遠藤:GEは100年以上の歴史の上に成り立った仕組みが出来上がっている会社ですが、オラクルは若くて、今まさにダイナミックに成長・変化を遂げながら様々な人事的な仕組みを作り上げています。そこが大きな違いですね。プラスマイナスでどちらがいいのかは分かりませんが、GEはエスタブリッシュされた会社ですので、当時のGEの仕組みが今のオラクルに当てはまるかというと、業態やステージが全く違うので、当てはまらないんです。

オラクルはIT企業なので、スピード感を持って仕組みを作り、次の世代・時代を作り出しています。また、GEの場合は非常に強いリーダーシッププログラムを持つ企業として有名です。オラクルは、よりエンジニアや営業といったスペシャリティを持つ人の育成に投資と時間をかけています。専門性の高い人材を多く育て、テクノロジーカンパニーとして、その時のビジネスの生業に合わせて、人が活躍できるようにしているという点もGEとの違いだと思います。

細川:短期的な人材育成ということでしょうか。

遠藤:短期的というよりは、ビジネスのスピードに合わせた人材育成というのが正しい表現かと思います。主力製品がデータベースであった時と、今のようにスピードをもって会社がクラウド化を進めている時代では、人の育て方が全く違います。常に起こっている変化を短期的にくくって、そのマーケットや事情に合わせて人材開発をする必要がありますが、そういう意味では、必ずしも人事だけが人材開発のプログラムを実施している訳ではありません。

事業に近いところに専門性の高い人材を育てる機能があります。オラクルセールスアカデミーという部署で、事業部の戦略に合わせて専門性を高めたり、クラウドのプロを育てる組織があり、そこでグローバル統一の様々な育成プログラムを展開しています。人事は残念ながら、お客さまから遠い所にいるので、市場の情報が現場より一歩後で届くことが多いのですが。お客さまに近い、ニーズが一番あふれているところにその機能を作り、スピード感のあるプログラムの開発と展開を行っています。

細川:それをサポートするのが、人事の役割なんですね。

遠藤:そうですね。ジェネラルスキル・ソフトスキルといわれているような、インターパーソナルスキルやコーチング、リーダーシップなど、人事はより長期的視点の人材育成を担っています。オラクルは非常にユニークな人材開発の体制を整えているといえます。

「事業を支える人事」の仕事

細川:現場のビジネスモデルに合わせて人材を作っているんですね。これはグローバル共通なのでしょうか。

遠藤:そうです。オラクルコーポレーションがそういう考えですね。ですから、人事の役割も事業部をどうやって強くするかとか、事業部をどうやって支援するかとか、「事業を支える人事」と非常に明確に役割を定義しています。

細川:事業部に人事の人がいるんでしょうか。

遠藤:人事部に所属はしていますが、HRのビジネスパートナーあるいはフィールドHRと呼ばれる部門担当人事を配置し、戦略に合わせて支援しています。事業部のための人事です。

細川:担当人事にはどういうキャリアの人が多いのでしょうか。

遠藤:ほとんど人事畑で育った人が多いですね。ビジネスの経験は若干あっても深い訳ではありません。能力的に求められるのはファシリテーションスキルや、問題を特定して解決する能力などです。

細川:コンサルタントに近いですね。

遠藤:近いと思います。コンサルタント的に動くこともありますし、社員の日常的な相談に乗ることもあります。日常的なことも含めて人と組織に関するあらゆる課題・問題をサポートしています。