富士フイルムは今、ヘルスケア、高機能材料、プリンティング、マーキングという3つの大きなポートフォリオの中で、未来に向かって社会に貢献していこうとしています。ヘルスケアは非常に分かりやすいですね。世の中で肺疾患で死ぬ人は年間150万人、交通事故で死ぬ人は130万人らしいのですが、肺疾患で死ぬ人の方が、交通事故で死ぬ人より多いわけです。レントゲンフィルムを含めて、X線の画像診断をもっと安くアフリカや新興国の人たちが使えるようになって、毎年亡くなる人たちが減ったら、ものすごい社会貢献ですよね。

医薬もそうですよね。日本だけでアルツハイマーの患者さんはあと5年で700万人になるといわれています。でも富士フイルムが開発しているT-817MAという薬は、アルツハイマーを治す可能性があります。そんな素晴らしい社会貢献はないじゃないかということ、一生懸命早くやって社会に貢献すればその分のリターンを社会が返してくれるから、そういう使命感を持って仕事をしていこうということを社員には伝えています。

アスタキサンチン=富士フイルムというブランドを確立するために

細川:化粧品に参入した時に非常に驚きました。順調にいってらっしゃいますが、フィルムと化粧品は同じ化学ではありますが、マーケティングや売り方はものすごく違うと思います。全部社内でやっておられるのでしょうか。

吉沢:基本的には社内でやっています。化粧品メーカーから入社した方と、いろいろ試行錯誤しながら進めています。

アスタキサンチンを他社ではできないくらい、細かくナノ化して細分化しているので、浸透は圧倒的に違うという自信があるのですが、なかなかそれが伝わらないのが現状です。でも地道にしっかりそれをやっていくことで、アスタキサンチンは富士フイルムというようになってきました。

化粧品は、医薬品と違って新しいものを自分たちで合成して作るわけにはいかないんです。今、世の中にあるものを使って、いかに浸透をよくするか、長持ちさせるかということになりますから、技術の差でエビデンスに基づいて説明して、少しずつ大きくしていきたいですね。化粧品をやっていろいろと勉強になったところもありますから。