10年、15年先にAIやロボットに置き換わらなくて済むための人事

細川:古森会長はなぜ、吉沢さんに変革に関わる仕事を任せたのでしょうか。正直、嫌な仕事ですよね。

吉沢:2003年から経営企画部で改革の仕事をやってきました。2011年7月に人事に移ったのですが、その時は人事を変えろということでした。人事の生え抜きの人にはなかなか変えられないんですね。

細川:人事の人はお酒と人が好きな良い人が多いですよね。

吉沢:そうですね。良い人が多いです。でも、これから世の中が変わっていく中で、今の仕組みのままだったら、社員にとって不幸だと思っていました。社員がもっとしっかり武装して一人ひとりが力をつけて、プロフェッショナルとして飯を食っていけるようにならなければ、会社も社員も不幸ですよね。そういう社員をつくる人事に変えようということですね。

人事のマネジャー層も協力をしてくれました。方向はお互いに納得して理解して進めています。今は生産性を上げることに取り組んでいます。

あと15年くらい経ったら、今の仕事の半分はなくなってしまうといわれていますし、自分たちで今の仕事の半分をなくして、アウトプットは今以上のものを作る、それを我々がしなかったら、時代に流されてしまいます。人事部が変革しなくてはダメなんです。働き方を変えて、時間あたりの生産性を倍増していけば、半分の人で今まで以上のアウトプットを見せることができます。そうすれば、誰もAIやロボットに置き換わらなくて済むかもしれません。

そういうつもりで、今後くる10年、15年先の未来を先取って、人事の仕組みを変えて行こうということです。

最近、写真フィルムを見ていませんし、これからは銀行や店舗、ガソリンスタンドもなくなってしまうかもしれません。少しずつ変わっているように思えても、本当は劇的に変わっていますし、車が自動運転になったら、もっとすごいことが起きると思っています。

車の稼働率は今3%だそうです。極端な話、車が所有から利用に移れば今の車97%はなくなってもいいわけです。自動車産業は損害保険やエネルギーなど、非常に大きな産業の塊です。本当にこの10年で劇的に変わります。仕事ってどんどん取られちゃうよという話を社員にもするわけです。一人ひとりが本当にプロフェッショナルになることを目指してやっていかないとなりません。遠くから今の会社や自分の仕事を考えることが大切です。

人事研修では10年後の富士フイルムは何で社会に貢献していくのか、そういう中で自分はどうやって会社を通して社会に価値を提供していくか、どうやって社会に必要とされる人間になるか考えるような研修に今、変えています。