高齢化先進国のメリットを活かして世界へ!

細川:会長の事業全体に対するビジョンはどんなものでしょうか。

寺岡:我々はお客様にとって何がお役に立つのかを常に追求している企業です。そういう消費者のお役立ち企業、我々はコングロマリット企業と呼んでいますが、消費者へのコングロマリット企業を目指すというのがひとつのビジョンですね。基本的にはその家で消費するもの、使われるものをできるだけ我々がお届けできるようにすることです。日本はこれから、少子高齢化で日本のマーケットは縮小するといわれていますが、それは仕方がないことです。

今の日本では「高齢化」にマイナスのイメージがあるんですが、逆に言えば、世界の高齢化先進国であるといえます。ここでのいろんな成功実態があれば、アジアやヨーロッパの高齢化市場で、いろいろな市場を広げていくこともできますし、日本のいいサービスをアジアに届けていくこともできます。我々は今まで国内に特化していましたが、遅いくらいですけれど、海外を少し見始めています。中国では口に入るものや子供に対するものについて、自国の商品をあまり信頼していません。だからネットで買って取り寄せたり、日本にいる知り合いに送ってもらったりしてやっています。ここでの市場はますますこれから出てくると感じています。

細川:グローバル展開する際の人材としては、現地の方を採用するのでしょうか。

寺岡:こちらから送るのは最低限の人数でしょうね。やはり現地は現地の人に任せないとダメだというアドバイスももらっています。

細川:合弁企業ということになるでしょうか。

寺岡:合弁企業でもいいですし、我々の独資で出してもいいと思っています。国によっては合弁が難しいところもありますからね。

細川:海外に出す人材について、例えばサムスンは「Uターンなんかありえない、行ったらその国に骨を埋めろ」という感じだそうですが、ナックさんもそういう感じがしますよね。

寺岡:出したばかりなので、どうなるか分かりませんが、その可能性は大ですね。

細川:B to Cなので、5年くらいしたら帰ってくることもできそうですが……。

寺岡:規模が大きくなればそういうこともできると思いますが、現地に入ってしまうとなかなか戻れなくなるんじゃないでしょうか。銀行でも国際畑に行った人はかわいそうなことにずっと国際畑にいますもんね。だから、現地の人を使うのが、やはり一番だと思いますね。できればトップも現地の人にしてもいいと思っています。

細川:何年後に海外の比率をどのくらいにする、といったところまで描かれていますか?

寺岡:今はまだ、はっきり言えるほど海外の比率は読むことができません。ただ、会社全体では2021年3月期に売上1500億円、営業利益100億円くらいを目指そうということでやっています。その中の何割が海外になるのかは、これからの成長次第です。

細川:その達成のキーとなる人材戦略については、どのようにお考えでしょうか。

寺岡:アジアの人を4〜5年前から、将来の現地の海外要員として採用しています。それから新卒の中でも、若いうちからいろんなことを経験してもらうためのラインをつくっています。新卒で手を挙げてくれた人には留学もさせていますよ。

お客様の言葉があれば3Kではなく3Aになる

細川:お客様のお困りごとを探して、それをビジネスにするということですが、言うのは簡単でもさせるのは大変ですよね。人は新しいことをやりたがらない傾向にありますからね。

寺岡:価値観をどう教えていくかだと思います。大変な仕事ですが、お客様が喜んでくれているということを実感してくれれば、3Kではなくなってくると思うんです。肉体的につらいだけでは3Kですが、その裏に「ナックさんとつき合ってよかった」「クリクラさんとつき合ってよかった」「レオハウスさんとつき合ってよかった」というお客様の言葉があれば、3Kを通り越して、3A(明るい、安定、安全)になると思っています。

細川:お客様のお困りごとを解決する仕事ですから、これは確実に伸びていきますよね。

寺岡:そうですね。どのくらいのマーケットがあるかは別にしても、方法論さえ間違えなければ、伸びていくと思います。しかもこれから高齢者でそういうことを要求される方が多いので、そこにたくさんのビジネスチャンスが生まれてくると思います。そして日本だけでなく海外にも市場が広がり始めています。それは日本の商品の安全とか信頼を海外の人が求めているからです。

細川:どういうふうに成長していくのか、まったくの自由で面白いですね。

寺岡:我々はどこかの資本の下にいるわけでも、グループにいるわけでもありませんから、自分たちで好きなことができますね。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ(株) 代表取締役
細川 馨

 ビジネスコーチ(株)代表取締役。外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年にビジネスコーチを設立。ビジネスリーダー育成のスクールを主宰。著書に『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)『生保最強営業マンの実践コーチング塾』(日経BP社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。