「楽しすぎるから」67歳をメドに社長を辞める

細川:後継者については、まだお考えになっていないのですか。

葉田:今は楽し過ぎるんです。だから67歳くらいをメドに社長を辞めようと思っています。私は何でもできるんですよ(笑)。カラオケもそこそこ歌えるし、ゴルフもシングルです。英語も下手ですが多少話せますし、こんな楽しい仕事はありませんが、創業者が辞めたらつぶれてしまう事業をたくさん見てきたので、これから5年かけてマニュアルづくりや新規事業を創出できる組織づくりをしたいと思っています。することがないので、会長にはなりますが、後継者づくりをしていきます。これから発展できる基礎を作って辞めたいですね。ピークで辞めたら無責任ですからね。能動的に発展し続ける会社にしたいです。

細川:それでは、イノベーターをたくさん作らないとダメですね。

葉田:そうですね。うちは創業以来ずっと、ライフスタイルイノベーションをしてきた会社です。ライフスタイルをイノベーションできる製品を開発できれば、なんとかなると思います。コアのPCやスマートフォンの事業と、エンベデッドがあり、売上は全くダメなのですが、海外では、自社ショップやeコマース中心のSPAのビジネスモデルで立ち上げようと思っています。3つとも全然違うんです。海外はやっぱり日本のようにちょっと歩けばお店があるわけではありません。日本のようにいろんな商品もないし、eコマースが発展しています。中国は急にeコマースになったので、自社ショップを展開しようと思っています。

中国はこれからだと思っています。私は景気がいい時が苦手なんですよ。我が社もバブルが崩壊してから発展しています。物が安いし、人も採用できましたから。中国はこれから人も採用できるし、何より出店コストが安く済むと思います。おそらく賃金の上昇も緩やかになるでしょうし、今から中国に行かないと、ですね。今から資源や石油をやらないと、と思いますよ。

細川:リスクがないですからね。考えれば当たり前のことかもしれませんが、普通の人はその当たり前のことがなかなかできないんです。株だって安ければ買えばいいんですが、買わないですしね。

葉田:私は基本的には日本の崩壊に備えて経営をしています。銀行預金封鎖に遭っても、社員の当面の給与が払えるくらいの資金を海外に預けています。

細川:社長は自らを鍛えていますが、社員にも同じことを求めるのですか。

葉田:そこまではやりませんよ(笑)。ただ、我が社の営業会議は面白いですよ。宴会になるとベストはシャンパンで、ワーストは発泡酒なんです。ベストは100グラム2,000円の松坂牛のすき焼きで、その時ワーストは野菜を焼いているだけです。ベストはVIPルームで、ワーストはラウンジに泊まります。一番うれしいのはワーストだった人が次にベストとして発表された時です。我が社は新入社員の定着率が高いんです。3年経っても離職率は5%ないと思いますよ。

細川:選別がいいんでしょうね。

葉田:最初のボタンの掛け違えはないですね。5〜6割は体育会系で上意下達というか、頑張りますよね。

細川:選別を間違えると、育成も難しいですからね。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ(株) 代表取締役
細川 馨

 ビジネスコーチ(株)代表取締役。外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年にビジネスコーチを設立。ビジネスリーダー育成のスクールを主宰。著書に『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)『生保最強営業マンの実践コーチング塾』(日経BP社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。