日経BP総研マーケティング戦略研究所では、2014年に「ダイバーシティ&イノベーションフォーラム」を発足させた。女性活躍を第一歩としてダイバーシティマネジメントを推進することが組織にイノベーションを生み出す上で不可欠であり、企業価値向上につながるという思いから始まったこのフォーラムも本2017年度で4期目を迎える。

 7月24日には、「先進企業事例研究会」が開催された(東京・お茶の水)。今回はこの模様を報告する。

 先進企業事例研究会では、毎年5月に発表される「女性が活躍する会社BEST100」(日経WOMAN・日経ウーマノミクス・プロジェクト実施)で、上位に入った先進企業の担当者を講師に招いて開催している。今回は管理職登用度第1位(総合ランキング16位)となったジェイティービー、総合第1位となった第一生命保険、そして今回初めてベスト100に入った総合85位の本田技研工業の3社が登壇した。

ジェイティービー ― 営業職にメンタリング研修やロールモデル実例集も作成。女性登用進める

 まず、ジェイティービー グループ本社取締役人事部長花坂隆之氏が登壇し、「JTBグループの女性活躍推進~多様性を企業の強みに」というタイトルで講演した。

 どの企業も女性管理職がなかなか増えないのが悩みだが、管理職登用度トップの同社はどのようにしてそれを成し遂げたのか。

 同社では「女性社員に自信を持たせる~知識と意識の変革」「上司の意識改革~女性活躍を推進するマネジメント力の習得」の2つを課題とし、その課題に対して施策を展開した。上司向けには部下のキャリアアップを考えるセミナーを実施、マネジメント手法を学んだり、本人とのコミュニケーションを後押ししたりすることで、女性の人材パイプライン構築を支援した。また女性社員とのコミュニケーションが苦手な上司には、女性社員と合同で研修に臨み、相互理解の場を設けることで女性活躍の理解を深めるユニークな取り組みも実施した。

 女性向けには、女性営業職のためのメンタリング集合研修(3年後には受講者を対象としたフォロー研修も実施)や女性のロールモデル実例集を作成した。

 ジェイティービーが女性登用に成功できたのは、このように、上司向け、女性社員向け、また上司と女性社員の合同研修と、対象を変えた多面的な取り組みを実施したからであろう。まだ女性社員を対象とした研修のみを行う会社も多いが、そういう場合、キャリア意識が向上した女性が職場に戻ると上司が前と変わらない古い考え方でかえって失望した……という声をよく聞く。しかし、ジェイティービーの場合は、上司、女性社員双方の意識改革を重視して同じく取り組んでいるためで、そこに“温度差”は生じにくい。また、これも多くの企業がなかなか定着しないと悩んでいる営業職女性対象の取り組みを、早くから実施しているのも先進企業たるゆえんだろう。

花坂隆之氏

 花坂氏が講演の最後に触れたのは、女性活躍推進と関係の深い「働き方改革」である。長時間労働風土改革マニュアル三部作を作成し、働き方改革見直しサイトも設置、「サイトでは現場の知恵を集めて検索できる仕組みをつくった。『長時間労働のない新しい職場の形を』と全社が一丸となって取り組んでいる」と締めくくった。