続いて行われたのが、日経BP社執行役員、日経BP総研マーケティング戦略研究所所長の麓幸子氏の講演「間違いだらけの働き方改革~成功と失敗の分かれ道は…」。麓氏は数多くの企業の事例を分析し、働き方改革の成功のポイントを挙げた。

 「第1に、働き方改革が経営戦略として位置付けられているかどうか。形だけの働き方改革では当然うまくいきません。熱心なのがトップだけで、ボードメンバーが賛同していないという企業もあります。アフラックの山内副会長は自ら対話を重ねておられるとのお話しでしたし、カルビーの松本会長や日本電産の永守会長も自らの言葉で発信して、改革を進めておられます。また、自社の課題を正しく抽出し、それを改善する取り組みをしているかどうかも重要なポイントです。経営側が自社の課題を把握しないままに、間違ったベクトルで改革を進めても決してうまくいきません」(麓氏)。

 このほか、麓氏は「長時間労働を是正し、生産性を高めているか」「働き方の柔軟性を高めているか」「働きやすさだけでなく、働きがいを創出しているか」といった点についても触れた。

日経BP社 執行役員 麓 幸子氏の講演
日経BP社 執行役員 麓 幸子氏の講演

リモートワーク導入で多様な働き方を支援

 講演のあとはパネルディスカッション「先進企業が取り組む働き方改革の『今』」だ。パネリストはアフラック ダイバーシティ推進部長の岡本文子氏と、EDGE株式会社 代表取締役社長でチーフエヴァンジェリストの佐原資寛氏。モデレーターは麓氏が務める。

 アフラックでは現在、在宅勤務を含むリモートワークを推進している。

 「制度利用者数は2016年度が延べ2,000人。今年は社員が使いやすいように制度を見直したこともあって、現時点で4,000人と、昨年を大幅に上回るペースです」(岡本氏)。

 ITを活用した働き方改革と組織作りの両立を支援しているEDGEの佐原氏は「時間や場所の制約を受けずに、自由に働けることが大切」と語る。

 「セキュリティーへの不安から社内ネットワーク経由じゃないと仕事ができないようにしている企業が多いですが、最近はクラウドの方がむしろ安全との声もあり、考え方が変わってきたことを実感しています。働き方改革が進む企業の現場では、往々にしてコミュニケーションや社員育成の時間が減らされます。リモートワークや時間制約があるなかでも、コミュニケーションや育成を犠牲にしないシステムの構築が、必要です」(佐原氏)。

 「コミュニケーションは重要。当社では多くの女性社員が事務職から営業職に転換したことで、今までにない課題が生まれました。例えば、取引先のパーティーに出る時、男性と違って、女性は服装選びに迷うもの。そんな些細なことでも身近に相談できる先輩がいればいいのですが、女性の管理職は多くありません。そこで、ロールモデル部隊を作って何でも相談できる支援体制を整えました」(岡本氏)。

 こうしたこまやかな施策もあって、アフラックでは時間外労働が前年比10%削減された。有給休暇の取得率は一般社員が70%超、管理職が68%。「全社員平均で70%超を目指して、引き続き取り組んでいきます」(岡本氏)。

パネルディスカッション
アフラック ダイバーシティ推進部長 岡本 文子氏、EDGE 代表取締役社長 佐原 資寛氏によるパネルディスカッション。モデレーターは麓氏。