――働き方改革を本気で進めようとすると、管理職に求められる役割も変化していくことになると思います。望ましい上司像ということについて、先生の本に出てくる「ワークライフコンフリクト」のお話はとても示唆的です。

佐藤:仕事が最優先の「ワークワーク社員」というのは、仕事が充実していて、仕事での頑張りを上司に評価してもらえれば、それがモチベーションにつながります。でもそういう人が、ある日、これまでのキャリアを考えるセミナーに行って、今後のビジネスシーンの変化に柔軟に対応できるスキルをビジネススクールで身に着けたいと考えるようになる。その結果、ワークワーク社員が、週2日、定時で退社し学校に通う「ワークライフ社員」へ変化するわけです。この時に、もし上司が自分と同じ価値観でなくなった部下のことを認められなくなってしまうと、部下は、ワークライフコンフリクトに直面します。

 ワークワーク社員がいけないわけではなく、そうした人材しか受け入れない、評価しないというマネジメントがダメであるということです。大切なのは、どちらの社員も意欲的に働けるようマネジメントするこが管理職に求められるのです。大変ですが、それができないのであれば、管理職はやめるべきです。

 今の働き方でもいいと思っている人もいる中で、一人ひとりに働き方改革が大事だと思ってもらうためには、早く帰ってやりたいこと、やらなければいけないことがあるが大事になります。働き方改革は生活改革が必要です。そのために大事なのは平日のゆとりです。毎日1時間残業するよりも、残業ゼロの日と、2時間残業する日があった方がいいのです。平日にゆとりがあってはじめて週末にもゆとりが生まれ、勉強しよう、何かしようと思えます。労働時間の総量を減らす次の段階は、メリハリのある働き方を通じた、平日のゆとりの創出です。

「育児は女性の役目」という女性自身の無意識のバイアスも問題

――女性活躍についても教えていただけますでしょうか。

佐藤:昔に比べて、女性は結婚して子どもを産んでも仕事を続けやすくなってはいます。大事なのは、女性が早く産休育休から復帰して、キャリアを実現しようと思えることです。そのために、特に女性では新人時代に部下の育成がうまい上司のところに配属しないといけません。初期キャリアの段階に仕事の面白さを知ってから結婚すれば、出産しても早く仕事に復帰しようと思うようになります。

 その時に仕事に復帰した時に、フルタイムで無理なく働ける仕事と子育てが両立できる働き方があることも大事です。現状では、早く復帰しようと思っても両立が難しいから短時間勤務を長く使おう、となったりしています。結婚して制度をとことん使い切ろうと思う人が出てくるのは会社の責任もあります。

 もう1つは女性社員の夫の問題です。カップルで子育てしようという意識になっているかどうか。これは女性自身にもアンコンシャスバイアスがあって、子育ては女性しかできないと思っている人がけっこういます。自分が望むキャリアを実現するためには、カップルで子育てをしないと無理だと女性自身に思ってもらわなくてはいけません。