女性がキャリアを生かし続けるために、会社としてできることが3つあると思っています。

 1つ目は「制度面の充実」。産育休の取得や、時短を選択したりできる対象者の範囲を広げること、時間や勤務パターンを多様化することなどです。

 2つ目は「休業中の職場への支援体制」。産育休者が出た部署には人の補充をきっちり行いました。人の補充を明確にすることで産育休者が出ることへの心配がなくなり、子どもができることを喜び合える職場ができます。

 3つ目は「産育休者向けの復帰支援策」です。10年前から定期的にフォーラムを開催し、復帰予定者と上司にそろって参加してもらっています。上司と一緒に研修を受けることで安心できるという声も多くの復帰者から届いています。

 その結果、働き続ける女性は増えました。女性社員の平均年齢は80年代の27歳から41歳に。平均勤続年数も6年から17年に延びました。昨年度は産休取得者数は、専門部署ができる前の14倍となる780名、育休取得者が33倍の1536名に増えました。育休明けの時短勤務も82倍の1065名が利用しています。

 育休復帰後の働き方はテレワークを支えるインフラがもっと進化すれば、大きく変わるのではないかと期待しています。

 ただ、働きやすさは女性活躍のスタートラインにすぎません。2010年から人事制度を大きく見直し、コース別人事制度を撤廃し、職務範囲を一本化しました。以前は、総合職と業務職に分かれていましたが、制度と仕事の中身を統一し、処遇の制約としては転居のあるなしだけの差に変えた。結果的に大半の女性は仕事範囲が広がりました。男性と変わらない成果を挙げる女性社員も現れ、そうした社員をロールモデルにして、自分も挑戦したいと手を上げる社員も増えてきました。

3層構造の研修で女性管理職輩出のパイプライン構築

 次に考えたのが、女性管理職比率の目標値設定です。2011年に、「202030(2020年度末に30%)」を目指すとコミットしました。女性管理職を増やす目的は2つです。1つはロールモデルを身近に置くことでキャリアデザインを描きやすくし、行動変革に向けての覚悟を持ちやすくすること。もう1つは男性とは異なる価値観を持つ管理職を育てたいということです。「黄金の3割」という言葉があるように、異なる意見が3人に1人いると、やはり耳を傾けます。冒頭にお話しした一定のかたまり、これが3割の女性管理職だと思っています。

 具体的な取り組みとしては、女性管理職輩出パイプラインの形成です。3層構造の研修体制を構築し、2011年に「女性経営塾」、2012年に「プレ女性経営塾」、2013年に「キャリアアップ研修」をスタートさせました。女性経営塾は毎年10~15人を選び、8カ月間にわたってこれまでの会社生活ではないような「修羅場経験」をしてもらっています。最後には会社の改革プログラムを、社長やグループ会社の社長、女性役員といった経営陣に向けてプレゼンし、コメントももらい、評価までされます。それくらいの経験を積んでもらうことによって自信がつき、部長や役員が生まれています。